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お葬式とてんぷら

2012/5/3  妙高 さん

シニア|天ぷら先日、親戚筋の葬儀に出席しました。
九十六歳の媼(おうな)は、ここ十年ほど認知症で寝たきりでしたが、病名がつかないまま生涯を閉じることができたのはまさしく大往生だったと言えるでしょう。
夕食まではいつもどおりで、就寝前のおむつ交換に家人が部屋に行ったところ、すでに呼吸が弱くなっていたとのこと。
救急車で病院に運ばれましたが、数時間後に眠るように旅立ったということです。
故人には二度の結婚(いずれも夫とは死別)で子ども四人、孫九人、ひ孫が二十一人がいます。
人ひとりの人生は終わっても、血は累々と続くものなのだなと葬儀に駆けつけてきた親戚の面々をみてつくづく感じました。

さて、葬儀というのは冠婚葬祭の中でもっとも矛盾に満ちたものです。
何しろ本人がいないのですから、本人のための儀式といいながらも本人が口を挟むことができません。

現実的にも、お葬式を出すというのはお金がかかります。といっても私は香典を出す立場の人間なので、「かかっているに違いないだろう」と推測する程度ですが、聞くところによると費用はおよそ200万円。
葬式代「ぐらい」は残す、という言葉は実際、なまじっかなものではありません。

最近では家族葬という言葉が少しずつ広まってきているとはいえ、ひっそりと葬儀を執り行うのは至難の業。
私の老父は常々、葬式などやらず火葬して散骨してくれればいいなどと勝手なことを言っておりますが、本人がいくらそう主張してみたところで、故人の意思とは関係なく、故人と縁のある人々は訃報に接するやいなや、取るものもとりあえず駆けつけるというのが「常識」=良識。
そうなれば、ひっそりと家族葬などと言っていられません。
まして火葬のみで散骨、など夢のまた夢です。
まあ本人がいないわけですから、葬儀は残された人々のものであって、その人たちが望むように行われるのです。

それにしても、通夜ぶるまいといい、精進おとしといい、過剰な量のお料理には驚きました。
お葬式ではたしかに結婚式と違ってあらかじめ何人やってくるのかを特定することはできません。しかも通夜から告別式までの長丁場です。
忙しい中、わざわざ駆けてつけてきてくださった人たちに失礼があってはならないという気持ちが、万端すぎるほどの量のお料理を準備させてしまうのでしょう。

冠婚葬祭のお料理は、地域によってずいぶん違いますが、私の住んでいる地方では何はともあれ「てんぷら」。
もともとてんぷらは精進料理ですから、葬式にふるまわれる筆頭といってよいのですが、これが通夜から始まり精進おとしまで立て続けに出てくれば、箸をつける人はほとんどいません。

ああいう時の仕出しはもうセットになっていますから、料理の中身にさほど選択の余地があるとは思えませんが、会葬者が帰った後のテーブルの上には箸をつけられていないお皿がいっぱい。
折り詰にして持ち帰ってもあのとおりなのでしょう。
廃棄されてしまうことを考えると、切ない気分。
亡くなった故人は戦中戦後時代、食べ物に事欠いた世代の人でしたから食べ物を残すことに関してはことさら口うるさかったと聞きました。

葬儀はよりシンプルにという潮流の中で、特にそのお料理については一考の必要があるのでは感じました。

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