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シニアの声(39)吉田・東電福島第一原発元所長の死去を悼む

2013/7/12  かざぐるま さん

定年後の生活 東電福島第一原子力発電所元所長の吉田昌郎氏が9日、食道がんのため死去されました。58歳でした。
生前、「健康を取り戻して、また、現場で働きたい」と話されていただけに、本当に残念な気がします。

吉田氏といえば、2年前のあの日、津波の被害を受けて、原子炉の全電源が喪失した福島第一原子力発電所で、原子炉の溶融(メルトダウン)の危険を防ぐため、必死で注水のための陣頭指揮に当たっていた姿を思い出します。
特に印象に残っているのは、東電本社からの「海水注水の停止要請」に対して敢然と反対し、表向き要請を聞いたフリをして、作業員には、「注水を続けろ」と指示していたことです。
原子炉事故では、原子炉を冷却することが、最優先されるべきであり、現場の責任者として、本社の要請を押し切ってもそれを断行した、技術者魂が被害の拡大を防いだといえます。

後に、班目春樹・当時原子力安全委員会委員長(東大大学院教授)は、「吉田氏が東電本店の命令に反して注水作業を続けていなければ、東北・関東全域は、人の住めない地域になっていただろう」を話しています。
そのため、一部のマスコミでは吉田氏を「日本を救った男」とさえ呼んでいます。

それはともかくとしても、吉田氏は、「メルトダウンによって、何度ももうだめかと思った」と話しています。
吉田氏は、原子力発電所所長というだけでなく、日本の原子力発電の第一人者ともいわれます。
その氏が、このように話しているのですから、原子力の危険性は、なお、人智で制御できない部分のあることを物語っているといえます。

参院選挙を間近に控えて、原子力発電所の再稼働が、争点となっています。
自民党は、昨年の衆院選挙で掲げた「脱・原子力依存」の公約を、いつの間にか引っ込めています。
むしろ、再稼働に向けて“前のめり”の姿勢さえ見られます。
吉田氏の死去は、私たちに、改めて原子力の危険性を思い起こしてくれたような気がします。


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