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お墓のこと、夫のこと(2)

2013/10/28  五月 さん

老後の生活|お墓

※10月25日より続く

娘曰く、パソコン打っているのに、三回もお墓の電話がかかってきたので、三回目に言ってやったのよ。
「今日これで三回目です。どうして同じ霊園から電話があるんですか」

そしたら、相手が教えてくれたのよ。
「霊園に入っている石屋が、それぞれ電話かけるので重なってしまうことがあるんです」
それから、「お墓あります」と言って切るの。

また、野菜を届けてくれる友人と、お茶を飲んでいるところへ、電話。受話器を取ったら、またお墓。「あっお墓ありますので」とすぐ切る。と、友人が、何回もかかってくるでしょうと言う。

「今朝なんてトイレに入っていて、大あわてで出たら、お墓のことで頭にきちゃったわよ」 と友人。

そこへ偶然に、もう一人の友人が、買い物の帰りに寄ってくれ、お茶に加わり、墓地の話になって、ボランティア仲間もその件で、悩まされていると、ワイワイガヤガヤ。

彼女は、あまりにもしつこい電話に、
「まだ死ぬ予定ありませんから結構です」と断ったとか。

それは彼女が断ったのか、時々会うボランティア仲間から出た話なのか、よくわからなかったが、ただただ、その名言を吐いた人などだれでもよく、女三人寄ったお茶の座が、「よく言ったわねぇ」と、まさに抱腹絶倒の場になった。

昨年、町に待望の火葬場が完成し、タイミングよく、今年は霊園まで整った訳で、一部には迷惑電話に腹を立てたり、笑ったりと話題提供となったけれど、まだ墓地を持たない近隣の方々にとっては、ありがたい話ではある。

それなのに、わたしたち夫婦は、「火葬場できるまでは、頑張って生きていようね」と、冗談とも本音ともつかないことを、言い合っていた。

というのに、夫はそれを待たずに逝き、また、墓地も必要になる二十年も前に、遠方に用意してしまった。まったくわたしたち夫婦は典型的なせっかち人間である。待てば海路の日和ありだったのに―――。やれやれ。 
 

今朝夫に供え物をして、しばし祈る。

耳の遠くなった夫に、足の悪いわたしは、夫の耳元まで行かず、用事を思いつくとその場で声を張りあげ、「お父さん」と呼びかけていた。ゆっくりと静かな生活を好んだ夫に対して、そのことが、わたしにとって最大の心残りである。

祈りの最後に必ず、「お父さん高い声出してごめんね」と、あやまりながら、涙を拭うが―――。

今朝の夫は、心なしか、「お母さんせっかちは、用意周到ということでもあるよ。おかげで風光明媚な所で、ゆっくりしているよ。そんなにお参りに来なくてもいいんだよ」と、囁かれたような気がした。

墓地をテーマに文を綴ったら、改めて自分のせっかちさを思いしらされたり、また言い訳に声を発しない夫に、用意周到だなどと言わせる。

「まっ、いいか」夫は生前、わたしが親の命日に供え物を忘れたりすると、「仏壇(別段)苦情は言わないよ、気にしなくてもいいよ」と、冗談を言って笑った人だから、越生で、「お母さんは相変わらずだなぁ」と、苦笑いしていることだろう。
 

梅雨入り前、毎年夫と眺めた、くちなしの花が今年も満開になって芳香を放ち、夕闇に浮かびあがっている。

  くちなしの 花咲き満ちて 暮れなずむ

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