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涙腺のスイッチ

2014/3/11  k.s.chigasaki さん

定年後の生活

大震災の直後は、テレビやネットで生々しい映像が流されていて、テレビを食い入るように見ていた。

大津波が海岸に押し寄せる空中からの映像。
街が津波で崩壊する様を高台から写したもの。
漁船や油槽があちこちに流されている港の姿。
孤立した病院の屋上から旗を振って救援を求める人たち・・・。

最初は、いつものようにニュースの映像として見ていた。

しかし、暫くしてからは、そういった映像を見たくなくなった。

写ると、反射的にテレビを消してしまうのである。

現実から逃げている訳ではない。ひとりの日本人として、真摯に大震災と向かい合う気持ちは充分にある。

しかし、大勢の人たちの命を奪った災害の映像に接すると、反射的に涙が出てきてしまうのである。

それは、今まで経験したことがない類の、涙腺のスイッチだった。

悲しい時、悔しい時、感激した時に涙腺のスイッチが入るものだと思っていた。

しかし、大震災で経験した涙腺のスイッチは違う。

映像を見た瞬間にスイッチが入り、圧倒的な自然の力がもたらす大きな災厄に抗うことができず、尊い命が奪い取られていく様がうかんでしまい涙が流れるのだ。

人の世のはかなさに対する涙だったのだろうか。
人間の無力さに対する涙だったのだろうか。
犠牲者への鎮魂の涙だったのだろうか。

それらが混ぜ合わさって流れる涙だと思った。

暫くして、避難している被災地の方々の映像が流れ、皆で童謡の「ふるさと」を歌っているシーンが出てきた。

うさぎ追いしかの山。小鮒釣りしかの川・・・。

小さいころは何の感慨もなかった歌だが、まさに滂沱の涙。嗚咽が止まらなくなってしまった。

ふるさとへの思いと喪失感。

これは、やるせない気持ちからくる涙だったと思う。

東日本大震災から三年が経過した。

とてつもない大災害だった。

被災された方々は、まだまだ悲しみやご苦労が絶えないことと思う。

犠牲になった皆様のご冥福をお祈りし、復興でご苦労されている皆様に心よりお見舞い申し上げます。

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