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民事信託を使った事業承継対策

2016/11/1 

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財産の中に自社の株式がある方がいます。
いわゆる会社のオーナーになっている方ですね。
この自社株も財産的価値はありますので、この財産をどのように承継していくかは一つの課題になります。
特に自社株は、流通性がないために問題になりますね。
相続税の評価は高いけれど、それがすぐに現金化できるわけではないので、相続税の支払いに窮してしまうことも多いからです。
また、自社株の重要な権利として、会社の意思決定機関としての株主の権利(議決権)があります。
その地位をいかに後継者にバトンタッチしていくかも重要な課題です。

≪自社株の生前贈与≫

自社株の評価が低いうちに次の世代に株式を譲渡していくことがよく行われます。
または、退職金の支払い時など自社株の評価が下がった時を狙って自社株を譲渡することも良くあります。
贈与税がかかりにくくなるからです。
ただ、ここで一つ問題が生じます。
それは株式を譲渡してしまうと、会社の意思決定機関である株主としての地位も譲ってしまうことになり、会社に対しての法的支配権がなくなってしまうのです。
一線から退き、株式は譲渡したとしても、何かあった時には法的にも意見が言えるような環境を整えたいというオーナー様の声も多くあります。
その場合、民事信託を使うとうまく仕組みを作ることができます。
この仕組みは信託の中でも少し特殊です。
まずは自社株を自ら受託者として信託します。
いわゆる自己信託と呼ばれるものです。
通常は受託者を自分とは別の人にするのですが、自分で自分を受託者にするのです。
そして、受益者を譲渡したい後継者にします。
そうすることで、税務上の所有者は受益者に代わります。
つまりここで生前贈与が行われたことになります。
ただし、株主としての権利行使は、受託者自身が行えるので、法的な意思決定権は自分のところに置いておけるのです。財産的価値は贈与し、手元には株主としての地位を残しておける仕組みができるのです。

≪議決権の分散化を防止する≫

前記とは違ったお悩みとして多いのが、自社株の議決権を会社の後継者に集中させたいが、相続人が複数いる場合にできないケースがあります。
財産の中で自社株の評価の占める割合が多くなると、どうしても後継者以外の子どもにも株式を分けないと、遺留分を下回ってしまうケースなどです。
自宅不動産が財産の中で占める割合が多い場合と似てますね。
自社株も自宅不動産も複数人で分けるのが得策ではないことが多いのです。
もし、後継者でない兄弟が議決権を持ってしまうと、後々その権利を行使されてしまい、会社の運営がうまくいかなくなることもあり、最悪の場合事業継続が困難になることもあります。
この場合も、民事信託を使うとうまく問題を回避することができます。
株式を信託すると、受託者が議決権を行使することになりますので、受託者を事業承継者にするのです。
そして、受益者を事業承継者を含む兄弟にするのです。
そうすると、自社株の財産的価値を一部他の兄弟に譲り渡すことになりますが、会社の意思決定権は事業承継者がすべて行うことが可能になります。

上記の二つの例は、民事信託の中でも少し特殊な例なので分かりにくかったかもしれませんが、最近では相談例がとても多く、利用されている人もとても増えています。
やはり知っていると知らないでいるのとでは雲泥の差が出ることにありますので、よく理解してしっかり事前の対策をすることが得策です。

 

 
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