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葛根湯 ~正しく使えていますか?~

2011/12/5 

カゼ
空気も乾燥し、だんだん寒くなるこの時期、やはり風邪は大敵です。
皆様は風邪かな? と思われた時、どう対処されているのでしょうか。
今回は、シニア層にはなじみ深いポピュラーな風邪薬「葛根湯」について、その説明会に参加してきました。
意外に正しく理解していなかったなぁというのが個人的な感想ですが、皆様は葛根湯を使いこなしていますか。

=葛根湯はいつからのまれているの?=

葛根湯は、「傷寒論」(しょうかんろん) 「金匱要略」(きんきようりゃく)という、漢方の生薬処方療法にすでに記されているそうで、これらの古典はなんと3世紀初めに書かれたもの。
驚くことに、漢方薬としてその成分も配合も3世紀から現代まで変わらないそうです。

=漢方薬ってどんなもの?=

シニア層の方なら、野原で遊んでいて膝をすりむいて血が出ちゃった時、ヨモギの葉をもんで止血をした、などという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その他、胃の不調にセンブリを使うなど、混同しがちな民間生薬と漢方薬ですが、ヨモギの例のように、経験的に民間で伝わった知恵が、民間生薬とよばれるものです。
一方、個人の症状・体質(漢方では証と呼ばれています)に合わせた生薬を処方したものが漢方薬。
漢方
つまり、民間生薬と漢方薬の大きな違いは<服用についての厳密さ>にあります。
漢方薬の服用についてもっといえば、服用するには、服用条件にあった症状や体質が必要ということになります。

=葛根湯の成分と効能=

漢方薬法に従って葛根湯の服用をあてはめていくと、けっこうおもしろいです。
まずは葛根湯の成分ですが、
シニア|葛根湯
>定年後の生活|葛根湯
・葛根(かっこん)  =根 
・麻黄(まおう)   =草 
・生姜(しょうきょう)=根 (しょうが)
・桂皮(けいひ)   =樹皮(シナモン、にっき)
・大棗(たいそう)  =実 (なつめ)
・甘草(かんぞう)  =根
・芍薬(しゃくやく)  =根 

このうち、
麻黄 生姜 桂皮  は、かじるとからく、これらは体を温める働きをします。
生姜 大棗 甘草  は胃腸を守る働き。
葛根          は肩こりを改善。
芍薬          は筋肉痛を緩和するなどの働きがあります。

まとめると、葛根湯とは『体を温めながら、胃腸を守り、筋肉痛を治す』薬。
服用するには、『まだ発熱はなく、悪寒があり、頭痛がある、筋肉痛(関節痛)がある』が条件となり、
『既に高熱がある。寒気はしない。体がだるい。のどが痛いだけ。鼻水が激しい。咳がとまらない。腹痛や吐き気がある。』などの症状には、服用しても効果がないといえます。

風邪のひき始めに葛根湯がきくと言われるのは、「発熱前の悪寒を感じる時期」に効果があるためで、全ての風邪症状に効くわけではないというのも納得できますね。

一番注意したいのは、インフルエンザやウイルス感染症など、症状の似通った他の病気を素人判断してしまうこと。これらは抗生物質などの服用が必要になりますので、必ず医師の診断を受けなければいけません。

=体質の変わってきたシニア層の服用注意点は?=

葛根湯は「体の熱を上げて免疫力を上げるため」の後押しをする薬であって、熱を自分で作ることができる新陳代謝の良い人に効果のある薬。
従って、低体温の人や、新陳代謝の悪い人には効き目がないそうです。

虚弱であったり、年齢が上がり新陳代謝が落ちてくる体には不向きで、体質の変わってくるシニア層にとっては、気をつけて服用しなければいけない薬といえるでしょう。
頭痛
漢方薬は、その体質、症状に合ったものが決まっています。
例えば、吐き気・食欲不振・下痢・だるさが見られる場合は、「柴胡桂枝湯」、低体温には熱を与える作用のある「麻黄附子辛細湯」、など細かく分けられています。
葛根湯も症状があえば、風邪だけでなく、肩こりや神経痛などにも使われるそうです。

ただし、体質や症状を正しく把握できなければ意味のないどころか毒にもなってしまいますので、素人判断は避け、漢方に詳しい医師、漢方専門薬剤師に相談してから服用すべきでしょう。

~終わりに~

なんでもかんでも葛根湯を処方してごまかしてしまう<やぶ医者>を、「葛根湯医者」と揶揄する言葉をご存知の方も多いでしょう。
しかしこの「葛根湯医者」、自在に薬を操れる名医にも使われます。

身近な万能薬のイメージが強い「葛根湯」ですが、なんでもかんでも「葛根湯」ではなく、特徴をよく知って使いこなし、頼もしい常備薬として身近においておきたいものですね。

ライター 小柴直美

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