 |
櫻井 英明(さくらい えいめい)
株式新聞Weekly編集長。1980年明治大学卒。
日興証券にてエクイティトレーダー。
その後、インターネット証券の営業企画兼情報担当を経て現職。
最新経済動向を株式市場の観点から分析した未来予測に定評。
日々、新聞とは一味違う角度から株式の世界を斬る。
上場企業の社長へのインタビューを重ねている。
ラジオNIKKEI「株式チャンネル」月曜後場キャスター。
同放送で「櫻井英明のココだけの話」も展開中。
近著に「日本の経済これからどうなるの」(日本実業出版社)、「いちばんわかりやすい金融商品取引法」(中経出版)など。 |
円高が常識になる
今年の元旦、日経トップの見出しは「沈む国と通貨の物語」。「漱石の嘆き、いま再び」のサブタイトル。論調は「輸出立国・日本は永らく『円安は善』と信じてきた。だが、成長力低迷と連動する今の円安は国力低下と軌を一にするようにも見える」。ロンドンの地下鉄950円、1回の外食代9300円。これは今の日本では考えられない価格です。それこそ通貨のなせる業。ただ逆に、一泊100万円のマンダリンホテル、500万円の中古車など外国からは日本が安くなっていました。だからこそ余計に日本企業が外資に狙われてきました。日興もシティに買われました。この是正が求めらてくるのでしょう。必要なのは円高悪役論からの脱却。マーケットでは依然、円高株安論が支配的です。でも、今年は変化するかも知れません。円高株安は、円高トレンドで外人が日本株を売却するというのが最大の理由。でも円高を上回る株高トレンドであれば、外人売りも引っ込むに違いありません。いずれにしても、昨年同様に為替からは目が離せません。
国内の多くの評論家氏は、株は株、為替は為替、債券は債券という思考法をしますが、世界マネーにとっては、お金の置き場が異なるだけです。ですから、どの部分にマネーが向っているのかを肌で感じることが必要になります。残念ながらこれは、テレビや活字ではなかなか見えませんから、苦労しますが・・・。
評論家や市場関係者は必ずしもプロではない
前回、E・ハイマンの投資の法則をご紹介しました。その4番目は「評論家や業者は相手にしない」でした。業者は相手にしないと取引が出来ませんから、これは無理。ただ、評論家は専門家ではないし、市場関係者もプロではないということは覚えておいていいかも知れません。例えば・・・。結構有名な評論家氏のコラムで「ノックイン商品」に対するくだり。・・・3月17日の11000円台への突入は、リスク限定投信のノックインの仕業が主でした。12000円を割り込むと、投資家への利払い確保のための先物買いが必要でなくなるために、一気に先物の売りを仕掛ける性格の投信です。
一見、何となく読み過ごしてしまいますが、誤謬は2つ。ますリスク限定型ではないということ。確かに日経平均がとめどなく下落しても、損は投資金額の範囲で済みます。でもこれがリスク限定といえるのでしょうか。むしろ、日経平均が相当上昇しても、投資家は元本確保ができるだけという点からは、メリット限定型という方が正しいように思えます。2つ目は、利払い確保のための先物買いというところ。本来は、プット売りでオプション料を利払い原資にしているので、このプット売りのポジションを先物買いでヘッジするという仕組み。評論家氏は、この仕組みが判っていないから、余計に訳の判らない説明になる。因みに、「カバード・コールって何ですか?」とか「225先物1枚買うには保証金はいくら要りますか?」と聞いてみるといいかも知れません。もっとも・・・。この説明も結構ややこしいかも知れませんが・・・。
今回の鉄則
日経平均に一番影響を与えているのは、NYダウの動きや外国人買いではありません。実は、裁定取引の買い残が9割近い連動性を持っています。その裁定の買い残は、3月第3週に2兆732億円まで減少しました。2兆円割れとなると、2005年7月以来のこと。振り返れば、当時の日経平均は11000円台。その後、長期上昇となり2006年4月の17000円台に向ったことは記憶に新しいところ。直近では、昨年2月に6兆円に乗せたときの日経平均は18000円台。その後8月にかけて2兆円台まで減少し日経平均は3000円下落。10月までに1兆5000億円積み増され日経平均は2000円上昇。ここから裁定買い残は約2兆円減少し、日経平均は5000円下落しました。
これが歴史。そして、直近は2兆円スレスレ。なけなしの買い残をも駆使して売り叩いたとなると・・・。もはや売り物は些少と考えられます。
==========================================
会員向けにお得な情報や先取り情報をお届け!登録は無料です!