上記に掲載されている切手の数々を見て、思わず「おっ!!」と思ってしまった方々も多いのではないだろうか。「見返り美人」「月に雁」「ビードロを吹く娘」「市川えび蔵」・・・。そう、昭和30年代の子供達にとっては、まさに喉から手が出るほど欲しかったコレクションの品々だ。
今回は、株式会社郵趣サービス社ご協力のもと、懐かしい切手の数々を、その時代背景と共に振り返ってみたいと思う。昔、切手集めに夢中だった方々はもとより、何か新しい趣味を探している方々にも切手の素晴らしさを感じて欲しい。
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■必見!!かつて誰もが憧れた“スター切手”
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「見返り美人」(1948年)
切手ブームの先駆けとなった大型の美人画切手
1948年(昭和23年)の切手趣味週間の切手として、当初、逓信省(現在の総務省、日本郵政(JP)の前身)は三角切手の発行を計画していたが、最終的に、大型の1万円印紙と同型(30×69ミリ)の切手を発行することとなり、このサイズに適した図案として、浮世絵の「見返り美人」に白羽の矢が立てられた。
当時としては世界にも例をみない大型の美人画切手で、発行枚数が150万枚と少なかったこともあって、発売早々に売り切れた。現在にいたるまで常に高い人気を維持し続け、1991年(平成3年)の切手趣味週間や1996年(平成8年)の「郵便切手の歩みシリーズ」など、その後もたびたび切手に取り上げられた。発売当時のもので、美品のものは、現在の価格で18,000円前後とプレミアが付いている。 |
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「月に雁」(1949年)
「見返り美人」と並ぶ2大スター切手
「見返り美人」の大好評を受けて、翌1949年(昭和24年)に、「見返り美人」と同様の大型切手が発行された。題材はやはり浮世絵からで、歌川広重の「月に雁」が採用された。発行数は200万枚だったが、5円から8円への郵便料金値上げの影響もあり、前年ほどの人気は出なかった。しかし、1950年代以降の切手ブームで人気に火がつき、「見返り美人」と並ぶ2大スター切手になった。現在の価格は、「見返り美人」を追い越して、美品であれば25,000円前後で取り引きされている。 |
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切手趣味週間「ビードロを吹く娘」(1955年)
海外にも大きな影響を与えた大型多色印美術切手。
1954年(昭和29年)、当時、郵政省は西欧諸国の“切手の日”にならい、毎年、切手趣味週間には“良い切手”を発行するという基本的な方針を決定。東京国立博物館とも協議の上、翌1955年(昭和30年)の趣味週間切手に喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」を取り上げた。印刷局は、技術的な問題から「見返り美人」のような単色グラビアでの印刷を主張していたが、郵政省はこれを説得して原色印を実現。背景の古びた感じや退色した色調も忠実に再現された。こうした苦労の甲斐あって、発行されるや多くの収集家が「近年まれに見る傑作」と絶賛し、国内のみならず、海外からも注文が殺到。各国の郵政や印刷局に大きなインパクトを与え、フランスはこの切手に触発されて、1960年代から美術切手の発行を開始したとも言われている。 |
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「切手趣味週間「市川えび蔵」(1956年)」
“写楽”といえばこの切手、切手収集の黄金時代を代表する1枚
前年の「ビードロ」の好評を受け、1956年(昭和31年)の趣味週間切手には、その対になる男性像として東州斎写楽の作品「市川えび蔵の竹村定之進」が取り上げられた。絵そのものの芸術的な価値もさることながら、刀が描かれていない(当時は、たとえ歌舞伎絵であっても、刀は“物騒である”として切手の題材として不適切とされていた。)ということも重要なポイントだったという。写楽の作品を取り上げた切手はその後も何度か発行されているが、収集家の間で単に“写楽”というと、この切手を指すことが多い。昭和30年代の切手収集の黄金時代を代表する切手として一般の知名度も高い。 |
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上記の4点は収集家の間では“四天王”などと呼ばれ、非常に人気が高かった品々だ。他にも当時の切手を眺めてみると、さまざまな出来事が蘇ってくる。天皇陛下のご成婚記念切手(右図①)、先頃、惜しまれつつも営業運転を終了した「0系新幹線」の開通記念切手(右図②)東京オリンピック開催の記念切手(右図③)など、さまざまだ。
■入手もインターネットで簡単&お手頃価格に!
このような昭和30年代の切手となると、入手も難しいし、お値段もそれなりに・・・と思うかもしれない。しかしながら、現在ではインターネットで簡単に入手できる。株式会社郵趣サービス社が運営する「
スタマガネット」では、国内外のさまざまな切手を取り扱っており、手頃な価格で1枚単位から購入が可能だ。論より証拠、まずはアクセスしてみて欲しい
(アクセスはここをクリック)。
筆者としては、戦後日本最高の名手・押切勝造氏による凹版印刷の傑作「第2次国宝8集 東照宮陽明門」(右図)が200円というのに驚かされた。手に取るとインクの凹凸の感触が残る凹版彫刻独特の質感がたまらない一枚。眺めているだけで、思わず笑みがこぼれてしまう。
株式会社郵趣サービス社では、切手以外にも1871年に発行された日本最初の切手「竜文切手」から、2009年4月発行の切手趣味週間切手まで、138年間に発行された日本切手全種をオールカラーで掲載している「さくら日本切手カタログ2010年版(右図)」も販売している。懐かしい切手たちを見ているだけで、あの頃の”切手少年”にタイムスリップしてしまいそうな、なんとも楽しいカタログだ。また、あの泉麻人氏の「イズミ少年の切手日記」という連載も始まった、雑誌『スタンプマガジン』の最新号も請求すれば無料で送ってもらえる。
定年退職を控え、第2の人生で何か夢中になれるものを探している・・・そんな人は切手コレクションを始めて、あるいは復活させてみてはどうだろう。みなさんが歩んできた時代そのものをコレクションできる、類い稀な趣味だと思う。同時に本取材を得て筆者が感じたのは、切手からは多くの知識を得ることができるという事。切手収集が全盛期だった昭和30年代の子供たちは、学校の教室で切手に関するさまざまな会話をしていた。その会話の中で、切手に描かれている日本の名所を覚えたり、美人画・日本画の作品名や作者を覚たりしたものだ。お子さんやお孫さんといった、若い世代にもこの素晴らしい趣味を是非伝えていって欲しい。(文・牧村進一)
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