賃貸の告知期間3年、自然死は対象外、、、。国土交通省による「事故物件」指針案が固まりました。
2021/6/2 200万円までの不動産投資をする大家さん さん不動産取引においては、取引の対象となる不動産にまつわる嫌悪すべき歴史的背景がある場合に、いわゆる心理的瑕疵があるといわれます。とりわけ住宅として用いられる不動産において、過去に他殺、自死、事故死など、人の死が発生した場合、当該不動産が心理的瑕疵を有するか問題となるケースがあります。
実はこれまで、不動産取引における心理的瑕疵については、買主や借主の個々人の内心に関わる事項であり、他殺、自死、事故死などの人の死に関する事案をどの程度嫌悪し、それが取引の判断にどの程度の影響を与えるかについては、当事者ごとに異なるため、明確な指針がありませんでした。その結果、取引業者によっていわゆる心理的瑕疵を与える物件、即ち事故物件を巡る対応が異なり、過剰に情報提供したり、入居者さんの「死」を恐れるあまり高齢者の入居を敬遠したりするケースが続出していました。当然ながら、「高齢者の賃借人=死」というイメージから高齢者にはお部屋を貸さないオーナーさんも少なくありません。そのため、特に単身高齢者(さらに男性は厳しい!)は住まい探しに見えない大きなハードルが横たわっています。
一方で、こうした事故の中身を全く告げないのも問題でしょう。
不動産取引に主たる法律である宅地建物取引業法上、取引条件に関する事であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの(まさに居室内の死はこれに該当します)を故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為が禁じられています。
業者は、宅地建物取引業法上、当該事案の存在について事実を告げる必要があるのです。そこで、国土交通省は、不動産において過去に人の死が生じた場合において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき責務の解釈について、トラブルの未然防止の観点から、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」を作成するに至りました。今回はその概要をご紹介したいと思います。
対象となる不動産は?
案によると、ガイドラインが対象とする不動産は「住居用」で、オフィスなどは対象外としています。隣接住戸や前面道路など、取引の対象となる不動産以外において発生した
場合については、本ガイドラインの対象外となっています。告げるべきケースとは?
過去に他殺、自死、事故死が生じた場合には、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、原則として、これを告げる必要があります。なお、対象となる不動産において、過去に原因が明らかでない死が生じた場合(例えば、事故死か自然死か明らかでない場合等)においても、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、原則として、これを告げる必要があります。
自然死などは告げる必要がないが、告げなければならないケースも・・・
老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が発生することは当然に予想されるものであり、統計においても、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が全体の9割を占めることから告げる必要はないとされています。
このほか、事故死に相当するものであっても、自宅の階段からの転落や、入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、そのような死が生ずることは当然に予想されるものであり、これが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、自然死と同様に、原則として、これを告げる必要はないとされています。
一方で、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃が必要となったケースでは、これを告げる必要があるとされています。
こうした期間は、今回のガイドラインで「3年間」という目安が定められることになりました。これまでは告知事項を告げるべき期間について明確なルールがなく、「入居者が1回転したら」などと根拠不明な運用がなされていました。
孤独死などが発生し、特殊清掃が入った場合も、殺人などと同様におおむね3年間は告知する必要があることになります。
まとめ
他殺、自死、事故死が発生した場合は原則として告知を求め、自然死については「自宅における死亡割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なもの」だとして、告げる必要がないというのが今回のガイドラインの要旨になります。
今回、ガイドラインが制定され、自然死が告知義務から外れることで「オーナーが高齢者の入居を受け入れやすくなり、また、高齢者の住まい確保もしやすくなるのでは」という期待の声があります。
高齢者の住まい探しの最前線に立たれる方の意見も多々あると思います。国交省が6月18日までパブリックコメントを募集してます。その後、どの様なガイドラインになるかを注目したいところです。参考文献:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」
(文責:200万円までの不動産投資をする大家さん)
九州を中心に200万円程度から始められる不動産投資を実践中。区分所有でも利回り13%以上を確保しつつ、売却時には購入時より高く売却することに成功。自らの手法でミドルリターン・ノーリスクを実現してもらいたいとコラムを執筆中。
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