家の主人は茄子のお味噌汁が好きで、時々注文がくるのです。私も茄子のお味噌汁は好きなのですが、どうも気が進まないのです。トラウマと言いますか、両親の喧嘩を思い出してしまうからなのです。
寡黙な母は父のわがままに耐え続ける『昔の日本女性』そのものの様な人でした。ですが、父があまりにも酷い事をした時にだけ、父の大嫌いな茄子のお味噌汁を作るのです。茄子のお味噌汁が出た数日間は家の中が静まり返っていて、子供の私にも二人が喧嘩している事が解るのです。そんな思い出のせいで、主人に言われるまで茄子のお味噌汁を作らないでいる私です。