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沖縄・尖閣諸島の購入寄附金12億円突破にみる石原都知事のほくそ笑み

2012/6/27  太陽の季節 さん

石原慎太郎
作家としての側面と、都知事という権力者の顔を併せ持つ石原慎太郎氏が訪米中のワシントンで沖縄・尖閣諸島を都独自で購入するという意表を突いた構想を打ち出してから2か月余り。すでに募金件数は8万件を超え、寄附金は総額で12億円を突破した(6月19日現在)。
都知事本局によると、金額はなおも右肩上がりで伸びているという。購入を巡る是非論はともかく、石原都知事の「日本人が日本の国土を守るために島を取得することに何か文句があるのか。本当は国が買い上げたらいいのだが、それをやらないから買うことにした。尖閣諸島は東京が守る」という考え方に賛同している人は意外に多い。それが莫大な寄附金となって現われているのだろう。世論をバックに当の本人は意気軒昂である。6月上旬の定例会見では魚釣島、北小島、南小島の3島に加え、久場島も取得する考えを示した。

尖閣諸島は沖縄本島から約410キロ離れた東シナ海の南西部の海域に点在する小群島。明治政府が1895年(明治28)に日本領土に編入し、以来、自国領土として実行支配してきた。戦後は米国の施政権下に入ったが、1972年(昭和47)に沖縄とともに返還され、所在地は石垣市である。5島(魚釣島、久場島、大正島、北小島、南小島)、3岩礁(沖の北岩、沖の南岩、飛瀬)から形成。国有地の大正島を除く4島は個人所有で国は安定的な管理を図るため地権者から賃借している。2010年の年間賃借料は魚釣島が約2110万円、北小島150万円、南小島190万円。
かつて魚釣島などには鰹節工場などがあったが、現在、尖閣諸島は無人島。中国と台湾が領有権を主張し始めたのは、1968年(昭和43)に行われた学術調査で周辺海域に石油資源が埋蔵されている可能性が高いことが指摘されてからだ。昨今、中国漁船による尖閣海域での不法操業があとを絶たない。日本を追い抜いて世界2位の経済大国になったという自負もあるのだろう。力で抑えつけようする中国のなりふり構わず立ち振る舞いは目に余るものがある。2010年9月に発生した中国漁船と日本の海上保安庁の巡視船との衝突事故はまだ記憶に生々しい。

魚釣島は中国名で釣魚島という。「尖閣諸島は中国固有の領土」と声を荒げる中国側にとって都の購入計画はとても容認できるものではない。石原都知事は反中国の論客として知られている。中国に対しての舌鋒は激しく、これまでに何度も物議を醸してきた。その人物が急先鋒となって尖閣諸島購入に動いているのだから、中国側としては過敏にならざるを得ない。
中国共産党の機関紙「人民日報」は「高度な警戒が必要」と指摘し、購入計画を厳しく批判している。系列紙の「環球時報」ではさらに論調を激化。石原都知事を「思想の毒蛇」にたとえる攻撃ぶり。一連の言動を「包丁を振り回して、国交正常化40周年を迎えた中日関係をめった刺ししている」と明記。「この好戦かつ狂気な政治家に導かれるまま行けば、両国間で最終的には戦争が起きる可能性がある」と恫喝している。しかし、よくここまで書けるものだ。怒りは分かるけれど、感情むき出しの言い回しだけでは読み手を引き寄せることはできないだろう。中国のこうした反応にひとり、ほくそ笑んでいるのは石原都知事ではないか。

都は仲介者をとおして尖閣諸島の地権者と交渉を重ねて購入することにしたという。取得は年内を目指している。この先、どう展開するのか。着地点はどこなのか。関心の的はこの辺にある。今後、政局の展開次第では政界再編のキャスティングボードを握る可能性も高くなっている石原都知事。運も実力のうちである。1999年に都知事に就任してから早や4期。この間、中小企業支援のため1000億円の都予算を投入して設立した新銀行東京は、「石原銀行」ともいわれ非難を浴びたが、それも振り切った。
唯我独尊と受け取るむきもあるだろう。あるときは都知事、また、あるときは小説家としてやりたい放題というわけだ。お台場カジノ構想も記憶に残る。現在、東京での2016年夏季オリンピック開催を目指して積極的に招致活動を行う。よくも悪しきも石原都知事である。ときに作家の顔をちらつかせて話題を煙に巻く。パフォーマンスもうまい。今度の尖閣諸島購入にしても本当の狙いは別にあるのではないかと勘繰りたくもなる。

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