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送別会のこと

2012/9/27  山紫水明 さん

定年後の生活
先日、元上司の送別会がありました。
元上司からご指名があった人だけが参加する一風変わった送別会でしたので、集まったのはご本人を入れて四人だけ。ひとりはどうしても都合がつかず欠席だったので、声がかかったのはもともと五人でした。

元上司Tさんはまだ53歳ですが、7月いっぱいで退職したのです。
ここ2年間は躁鬱病がひどく、療養休暇を取っていたので働いていませんでした。

私がTさんのもとで働いていたのはもう17年も前で、同じ部署で働き始めて一年ほどたったころ鬱病が再発したのでした。
当時すでに再発で、Tさんはそれまでに心の病気になったことがあったのです。
Tさんは大学を卒業したあと、殺虫剤で有名な某大手メーカーに入り、堪能な語学(英語&スペイン語)を生かして中東をはじめ南米など海外にあちこち出張するほど優秀な営業マンでした。
結婚後、過密な仕事がストレスとなって体調を壊し、故郷にUターンして今の会社に入ったという人です。
私と仕事をしていたころも新規事業が軌道に乗り始めて多忙でしたが、ある日突然書類を持ち出したまま行方不明になり 、大騒ぎになったのです。一週間後、都内で見つかったもののその日から3ヶ月の休み(療養休暇)に入ってしまい、残された私ともうひとりの同僚は途方にくれながら、それからおよそ1年の間、土日もなく毎日夜10時過ぎまで働きました。当時はTさんの無責任さに呆れ、憤り、忙しさと疲れで自分もギリギリまで追い込まれました。結局Tさんは半年休んだあと、復帰と同時に別の課に異動してしまいました。

療養中も、突然長い手紙(会社や仕事に対する情熱や不満)を書きつづって送ってきたり、私の実家に突然現れて父母に「お嬢さん(当時の私)は本当に一生懸命働いてくれています」などと言ったり、Tさんの家に招待されて奥さんや子どもさんと一緒にお寿司をごちそうになったこともありました。
いろいろ振り回されましたが、何故かその後もずっと社内の中でも友人みたいな感じで(笑)、今度も本人主催の慰労会=送別会に呼ばれたのです。

久しぶりに会ったTさんは、クスリのせいかちょっとだるそうな感じでしたが、お元気そうでした。 言葉はよどみないのですが唇が震え、時どき黙り込んでしまうこともありました。
さて乾杯しよう、という段になったとき、
「私はいくじがないので辞めてしまいました」
大きな声でそう言われるので、皆が「まあまあそんなことを言わずに」と慰めたのですが、Tさんはとても悲しそうでした。
自分のことを「いくじなし」といえる人に本当の意気地なしはいません。
自分は何をしてきたのだろう、このさきどうすればいいのだろうと考えあぐねているんだろうと察しました。
奥様が看護師でずっと頑張っておられ、二人の子どもさんも学業を終え社会人になったので、経済的な不安は解消されたとのこと。
会社を辞めてから、週2回図書館のバイトに行き始めたよと言っていたTさん。
「それでもなあ、生きていかにゃならんから」という言葉には、打たれ強く、しぶとく、這ってでも生き抜いている人の強い意思が感じられました。

一次会のあとはフィリピンバーに行ったので(笑)いっそ安心しましたが、Tさんのこれからの奮闘を祈らずにはいられませんでした。

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