国防軍?

2012/12/11  鍾馗 さん

定年後の生活
J民党が自衛隊を「国防軍」にするという。
自衛隊が軍隊であることは明らかなのだから、いまその呼称を変えたところで何が悪かろう、というのが彼らの主張である。
20万以上の人員をもち、陸・海・空において戦車、戦艦、戦闘機でミサイルを搭載している集団を軍隊と呼ばずして何というのか、と問われれば沈黙せざるをえない。
自衛隊が違憲であることは確かであり、既成事実を積み上げてなしくずし的に無理やり「合法化」してきたことも否定できない。
それゆえに、自衛隊には「うしろめたさ」がつきまとった。
実際、昭和の時代には、どうしても就職できなかったり受験に失敗して身の振り方に困った若者らが勧誘されて自衛隊に入ることがあった。一種、社会の吹き溜まりのように思われていたかもしれない。

私が幼いころ、家のすぐ近くに自衛隊の官舎 (平屋の一戸建) があった。
そこにT内さんという一家が住んでいて、その中に中学生ぐらいの息子さんと小学生の娘さんがいた。中学生ぐらいのお兄さんはよくランニング姿でバットの素振りをしていたことを覚えている。
転勤族の自衛隊一家だから当然地域のなじみは薄く、隣組にも入っていなかった(ように思う)。
そんなT内さん一家を周りの人たちはごくあたりまえのように「あの自衛隊の家が」という呼び方をしていた。その言い方のどこかには軽侮が含まれ、自分たちに馴染ませないようにするちょっとした悪意が子どもながらに感じられた。
小学生の娘さんはY子さんといい、彼女は保育園児だった私をかわいがってくれた。色の白い、目の細い女の子で声の甲高い女の子だった。
Tさん一家はいつだったか、知らないあいだに引っ越して行ってしまった。
古びた官舎はその後単身赴任の自衛官が数人入れ替わったが、二十年近く前に取り壊され、今は更地となったそのわずかな土地には国有地といういっぱしの看板が立っている。

若かりし頃数年を自衛隊で過ごした作家の浅田次郎さんは自衛隊を「勲(いさおし)なき軍隊」と呼ぶ。
国をまもりながら世間に疎まれ、後ろ指をさされてきた世界でも類のない日本の軍隊、自衛隊。
災害派遣でその活躍が認められ、はたまた「公務員」である部分が妙にクローズアップされてから、近年では一躍競争率の高い職種になった自衛隊ではあるが、「日陰者」であった頃を忘れてはいけないと思う。
浅田さんの「勲なき軍隊」は最高の賛辞ではないだろうか。「自衛隊」という呼称こそわが国に似つかわしく、それは黙々と苦労を積み重ねてきた隊員らの努力にふさわしい名前だと思う。

いきなり国防軍へと呼称を変えることに躊躇のないJ党には危うさを感じる。
自衛隊に対する嫌悪と感謝と、彼らの「誇り」を推しはかる複雑な「感覚」こそ私たち日本人にとって固有の、大切なものではなかろうか。

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