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シニアの声(36)「教育資金贈与信託」好調というけれど…

2013/6/21  かざぐるま さん

定年後の生活
今年4月から始まった、孫への教育資金贈与税の非課税措置が人気を呼んでおり、信託銀行の契約件数が増大しているようです。
世代間の金融資産の移転を円滑にして、若い世代の消費を刺激しようという、アベノミクスの目論見は成果をあげているように見えます。
しかし、この措置には、どうしても違和感を覚えざるを得ません。
贈与すべき資産のないシニアのやっかみといえるかも知れませんが、この措置を利用して信託銀行にお金を預けられる人は、相当裕福な人たちではないでしょうか。
非課税措置は、孫一人当たり1500万円までが対象とされます。
息子、娘の二人の子供のいるお爺さん、お婆さんの場合、孫は四人として、6000万円までの贈与が非課税となります。
孫の数が多ければ多いほど、非課税枠は増えます。

政府や金融機関は、資金の使途を厳格にするため、領収書提出などの措置を講ずるとしていますが、果たしてどこまで教育資金として把握することが可能なのでしょうか。
結局は富裕層の課税逃れに利用される恐れはないのでしょうか。

日本の個人金融資産は、2012年末で、1500兆円を突破したようです。
1500兆円といってもピンときませんが、国の借金が、国債を中心に1000兆円といいますから、それ以上の資産を個人が持っていることになります。
赤ちゃんから子供を含めて一人当たり平均にすると、何と1250万円、一世帯当たりでは5000万円近い資産を持っている勘定になります。
とても実感とはかけ離れていると感じますが、案の定、日銀は、実感に近い中央値(最高額から最低額を順に並べた時のちょうど真ん中の値)を公表しています。
それによると、中央値は一世帯当たり500万円、一人当たり換算で約150万円となるそうです。

この金額程度なら実感できます。
それにしても、巨額の個人金融資産と実感との乖離、言うまでもなく、一握りの富裕層によって金融資産全体が押し上げられているからにほかなりません。

個人金融資産を世代間でみると、何と、全体の7割が60代以上のシニア、シルバーなどの高齢者が占めているということです。これでは、安倍総理が、「高齢者の保有するお金をもっと引き出さなければならない」と言うのもムリはないでしょう。

しかし、教育資金の名目で贈与税を非課税にするというのでは、お金持ちはますます優遇されることになりかねません。
また、若者の間の教育格差を一段と広げることにもなるでしょう。
アベノミクスは、格差固定化社会をつくると言っても過言ではないようです。

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