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自民党に有利? 公明党には不利? 安倍首相悲願の憲法改正に向けて囁かれる衆参ダブル選挙とは?

2019/3/6   さん

 突然ですが「通常選挙」という言葉をご存知でしょうか?この通常選挙とは、参議院議員の選挙を指します。
 参議院議員とは憲法上、任期が6年と定められており、その半数を3年ごとに改選するという定めになっています(憲法46条)。これを学問上の用語として「通常選挙」と呼んでいます。

 「じゃあ、通常じゃない選挙ってナニ?」という質問が聞こえそうです。それが衆議院選挙です。別にアブノーマルという意味ではありません。
 衆議院議員の場合、任期は4年ですが、その任期中に解散がされることになっています(憲法45条)。この解散は特定の時期に行われるのではなく、総理大臣の助言と承認に基づいて天皇が行う国事行為となっている(憲法第7条第3項)ので4年の任期中は、何時でも解散がありうることになります。そのため、衆議院選挙のことを通常選挙とは言わないのです。

衆議院選挙と参議院選挙を同時に行ったことは過去、2回あります。
 この衆議院選挙と参議院の通常選挙を同時の日程で行ういわゆる「衆参ダブル選挙」というのは過去に2回あります。
 まず第1回目は1980年の5月19日に解散されたいわゆる「ハプニング解散」でした。経緯は以下の通りです。
1979年の総選挙で248議席の獲得に終わった大平正芳首相に対し、福田赳夫前首相らを中心とする反主流派は、福田首班を擁立し、自民党から総理候補が2人出るという前代未聞の事態に突入しました(40日抗争)。
 結果、大平首相が138票、福田前首相が121票で大平首相が衆議院で総理大臣に指名されました。
 が、党内対立は収まらず、1980年5月16日、社会党等、野党が提出した内閣不信任案に反主流派は大量欠席、賛成243票、反対187票で可決されてしまったのです。

 結果、大平首相は、衆議院解散と6月22日に参議院議員選挙と同時に衆議院議員選挙を行うことを表明。6月12日に大平首相が急死すると、自民党に同情票が集まり、衆議院では284議席、参議院で69議席を獲得し圧勝。鈴木善幸総務会長(当時)が次期総裁に選出され、総理大臣に就任したのです。
 そして2回目のダブル選挙はその6年後になります。

2回目のダブル選挙は自民党空前の圧勝に
 1983年の衆議院議員選挙で惨敗した自民党は単独過半数を失い、新自由クラブとの連立政権を形成していました。
 しかし、当時の中曽根内閣の高い支持率を背景に失地回復を狙う意見が増え、中曽根首相は1986年6月2日に臨時国会を召集すると冒頭で解散。7月6日に衆参同日選挙となりました。
 結果、自民党は衆議院では300議席、参議院でも72議席を獲得。非改選とあわせると143議席となる大勝利の一方、社会党は85議席にとどまり、石橋委員長が辞任。土井たか子氏が憲政史上初めて女性党首に就任することへとつながります。

2回とも公明党は敗北している
 過去、2回行われた衆参同日選挙と現在の政治状況が異なるのは公明党が与党であることです。特に1980年の衆議院選挙では自民党への同情票の結果、当時は野党の公明党は57議席から33議席へと大幅に後退。1983年には58議席へと復調するもの、やはり1986年には56議席と後退。いずれも敗北に終わっています。
 そのため、公明党が衆参同日選挙に現在も強く反対しているのは、こうした過去の敗北経験があるからです。

当時は中選挙区制だった…。
 当時と現在で異なるのはもう1つあります。それは選挙制度です。当時の衆議院議員選挙は中選挙区制といわれ、同じ選挙区に同じ政党の立候補者が何人にも立候補していました。例えば、5人通るので3人が自民党候補という按配です。
 その結果、候補者個人の名前が優先されるので、有力な候補者は参議院議員の立候補者への支援なども容易でした。
 ところが今は異なります。現在は小選挙区制で、選挙区で通るのは1人です。比例区もありますがやはり1票差でも少ない候補者は落選します。やはり衆議院と参議院の両方の選挙を同時に行うエネルギーはないというのも同日選挙が敬遠される理由で、小選挙区制移行、同日選挙は一度も行われていません。

それでも同日選挙が言われる理由。
 今の安倍首相が首相に返り咲いたのは2012年12月26日です。その7か月後の2013年7月28日に第23回参議院議員通常選挙が行われました。当時は政権に復帰した自民党への追い風と政権運営に失敗した民主党への風当たりは強く、自民党は65議席を獲得し、大勝。民主党は比例代表の得票数が公明党を下回る惨敗で17議席に留まりました。
 今回はその選挙で通った議員が改選期を迎えるのです。前回は「風」で通った方々は苦戦が予想されます。
 さらに民主党→民進党が分裂して誕生した「立憲民主党」が共産党との共闘により、躍進することが予想されています。
 結果、立憲民主党が躍進すると、参議院で憲法改正に必要な3分の2の勢力を失うことになり、安倍首相の悲願は大きく遠のくことになります。
 そこで衆議院選挙を行うことで「政権選択選挙」とすることで「共産党政権を作るのか!}という印象を与えることで負け幅を減らすことも可能なのです。また野党がバラバラで選挙の体制が整っていない点もこの主張を強める方向に作用しています。
 その様な観点から同日選挙論は根強く主張されていますが、同日選挙で負けてしまえば水の泡…。さてどうなるかは数か月後にはわかるでしょう。

(文責:定年生活事務局)



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