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ありがとう-娘への感謝

2011/6/24  伸一 さん

定年後の生活|結婚還暦と定年が迫ろうとする59歳の春、サラリーマン一筋の私にもついにリストラされる事になりその通知がデスクの上にありました。

薄い色の封筒の中に書面が一通、この書面の内容が私自身の人生を左右するとは思えなかったのです。まさしく想定外の書面の内容に血の気が引いていく思いです。同時に仕事を失うことで娘達に心配を掛けるのではないか。次第に無気力になっていく自分の情けない姿を男子トイレの洗面所の鏡に映し、虚ろに立っているとその横には私と同じ通知を読み立ち竦む同僚の姿がありました。

「もう終わりだ、これじゃ住宅ローンも妻も子も養っていけない」。悲観的になり、明日を照らす灯が消えてしまったように見えたその同僚を後ろから見つめ続けました。その同僚と酒を飲み交わしましたが、やはりその日は笑いながらにこやかに呑む事ができません。悔しさと辛さや未練などこみ上げてくる思いがおいしい冷酒でも苦い味に感じ、全く酔えなかったあの日の酒をまだ覚えています。

その後の人生は生甲斐を求める事を重視した生活となりました。これまで培ってきたプライドを棄てる事により新しい自分が見出せる様な気がしています。
3日前には娘達と温泉に行きましたが、妻を5年前に妻を失った深い傷跡も一緒に癒す為の旅となりました。
旅の途中、ブライタルコンサルタントの仕事に就いている長女から思いがけない発言がありました。「もう私達の事は気に掛けなくていいのよ、仕事を辞めたからって」。瞼を閉じて聞いてみればまるで若き日の妻の話し声に似て胸に沁みました。

しかし、長女が本当に言いたい事はその先にありました。長女は「もう一度、結婚してみない? 娘はもう賛成してるんだから」。
一瞬呆然となり私は目頭を押さえながら「何馬鹿げた事を言ってるんだよ、親をからかうのはやめなさい」。
しかし、本当は嬉しかったんです。仲良く見える父子ですが、かつては私と長女とは喧嘩が絶えない日々があり、お互いの溝は深まるばかりでした。その元凶は私にあります。5年前に妻が亡くなり四十九日法要が過ぎてから、妻が天に召された寂しさに耐え切れず酒浸りになり水商売の女性といい仲になってしまったのです。

その現場を帰宅途中の長女に見られた事が大問題の引き金になってしまったのは言うまでもありません。帰宅後、長女に罵倒され「位牌に手をついて謝って」と泣きながら訴える長女には償っても償いきれない思いがあり、それ以後は口さえも聞く事も無く、私自身の過ちを悔いる日々が始まりました。
あれから5年経ち「妻以外の女性には手を触れるな」と頑なに言ってきた長女からの意外な言葉には唖然となり、「いいんだね本当にいいんだね」と念を押し聞くと「うん、幸せになれるならいいわ」と言ってくれた長女の寛大な気持ちには頭が下がるばかりです。

還暦を過ぎ61歳となった今、再婚がまだですが楽しく暮らしています。辛い思い、苦い思いをさせてしまった長女ですが、改めて心から感謝しています。

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