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世相を斬る!(21)民間事故調の報告書に疑問

2012/3/9  臥龍 さん

オピニオン|世相を斬る先ごろ、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)が東京電力福島第一原子力発電所事故に関する報告書をまとめました。報告書は、菅前首相ら当時の政府首脳の事故対応を厳しく批判していますが、それらの多くは、的はずれのように思われます。むしろ批判されるべきは、原子力安全を守るべき最高責任者である原子力安全委員長であり、安全行政のかじ取り役である原子力安全・保安院であるといえます。それらに言及していない事故調の報告書には大いに疑問が残るといわざるを得ません。

報告書では、菅前首相らの官邸主導の介入が現場の混乱を招き、事態を悪化させたと指摘しています。しかし、菅氏自ら現場に乗り込んで指揮せざるを得なかったのも、東京電力や原子力安全・保安院などから、的確な情報が伝えられなかったことが大きな理由です。本来、一国の総理たるもの、官邸を動かず、一定のルートを通じてあがってくる情報を適切に判断して対応を指示するのが望ましいといえるでしょう。しかし、実際には、そうした情報伝達ルートも確立されておらず、菅氏が求めた情報に関しても、何ら対応がなかったことが大きいといえます。

菅氏が現場に乗り込んだことに対して「現場の対応が難しかった」とされています。しかし、通常の事故ならともかく、水素爆発という未曾有の大事故によって、放射能が放出されるという危機的状況の中では、一民間企業の東電に、対応を任せて置けないと考えるのは当然といえます。現場の混乱は認めるとしても、菅氏が東電の現場撤退にストップをかけたことは、大いに評価すべきです。事故の直接的な責任者である東電のトップが、放射能の危険を避けるため、運転員の現場からの離脱を求めたこと自体、許されることではありません。

菅氏が現場に行かなかったなら、東電の運転員をはじめ、関係者は全員発電所を逃れ、事態は悪化する一方だったかもしれません。
菅氏は、同行した斑目春樹・原子力安全委員長に、「発電所の水素爆発の事態は起こりうるか」と尋ねたところ、「起こり得ません」と答えたといいます。原子力安全に関する最高の権威がこの程度の認識であったと、後に政府首脳が語っています。国民は、こうした専門家に原子力の安全をゆだね、また、大事故の想定や危機管理対策を怠ってきた原子力安全・保安院に原子力行政を任せてきたのです。事故調の報告書はむしろこうした点にこそメスを入れ、原子力安全政策再構築への対応を示唆してほしかったといえます。

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