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夫婦間の相続は1億6千万まで非課税?しかしその実態は・・・

2017/6/26 

相続税専門の税理士の橘です。

相続税には、夫婦間の相続であれば最低でも1億6千万円まで無税になる配偶者の税額軽減という特例があります。
極端な話、財産が1億6千万以下の方が、全額を妻に相続させた場合には、相続税は0円となります。(この場合、税金はかかりませんが申告は必要になります)

一見大変お得そうにみえる特例ではありますが、この特例には実は恐ろしい落し穴が存在するのです・・・。

【配偶者の税額軽減とは】

まず、この特例はどのような特例かというと、
「配偶者であれば1億6千万か法定相続分のいずれか大きい金額まで相続しても、相続税をかけない」という制度です。

意味が中々難しいと思いますので、事例を使って解説します。
例えば財産が2億円ある方がいたとします。この方が亡くなった時に、配偶者はいくらまで相続しても税金がかからないかを考えていきましょう。

まずは1億6千万円、次に、財産2億円のうち配偶者の法定相続分は2分の1(※子供がいる場合)ですので、1億円。この2つの金額を比較していただきます。1億6千万円と1億円では、1億6千万円のほうが大きいですよね。

そのことから、この場合には、配偶者は1億6千万まで相続しても相続税がかからないのです。

では、一方で財産が4億円ある方が亡くなったとします。
この場合には、まずは1億6千万円、次に4億円の2分の1は2億円です。この2つの金額を比較してみると、大きい金額は2億円です。ですので、この方が亡くなった場合には、配偶者は4億円まで無税となります。

改めて、読んでいくと「配偶者であれば1億6千万か法定相続分のいずれか大きい金額までが無税」という意味がお分かりいただけると思います。

上記が正しい表現なのですが、実際には覚えやすい覚え方が一番かと思います。
覚え方としては「配偶者であれば最低でも1億6千万までは無税」と覚えてくださいね。

【配偶者の税額軽減の落し穴】

この特例をご紹介すると、多くの方が「夫婦間であれば相続税かからないのだったら、できるだけ配偶者に相続させた方が有利だ!」と考えます。

ですが、残念なことにこの考え方は、有利になるどころか最も不利になる可能性の方が高いのです。

その理由は何かというと、夫婦のどちらか片方の方が亡くなってしまうことを1次相続とよび、残された方が亡くなってしまうことを2次相続とよびますが、相続税は、2次相続でまとめて子供に財産を渡そうとすると、税額が大幅に増えてしまうのです!

1次相続と2次相続の税金を足しても、同じ金額にはなりません。2次相続の方が割高になるのです。具体的なメカニズムはお伝えしきれませんが、要点をまとめると、2次相続は1次相続に比べて、相続人の人数が1人少なくなっています。相続税の計算は相続人の人数に応じて計算されますので、相続人の人数が1人少なくなると、税額は大幅に増えてしまうのです。

どれくらいの差がでるかというと、1次相続で全ての財産を子供に相続させた場合の相続税と、配偶者に全て相続させた場合の相続税では2倍~3倍の違いになることもあります!!

一見お得に見えそうな特例でも使い方を誤ると、支払う税金は何倍も変わってしまう恐ろしいものです。夫婦間でどれだけ相続させあうかについては、専門家を交えて慎重な判断が必要になります。

■■■ 著者プロフィール ■■■

表参道相続専門税理士事務所
代表税理士橘 慶太

大学卒業後、23歳で税理士試験に合格。(この年25歳以下で税理士試験に合格したのは全国で70名) 大学在学中から、相続税案件実績日本一の税理士事務所、税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社。丸6年間、相続税専門の税理士として業務に従事。これまで手掛けた相続税申告は、一部上場企業の創業家や芸能人を含め通算150件以上。また、日本全国の銀行や証券会社で相続税セミナーや研修の講師を年間133回行う。
平成29年1月に、完全相続税専門の税理士事務所、表参道相続専門税理士事務所を設立する。

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