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相続時精算課税制度とは

2017/12/27 

こんにちは、相続税専門の税理士の橘です。
贈与税がなんと!2500万も非課税になる制度があるのをご存知ですか?!

通常の生前贈与では年間110万までしか非課税になりません。それと比べると非常に太っ腹な制度だと思いますよね?

一見お得そうに見える制度なのですが・・・

実は、この制度は使ってもまったく節税にはならないのです

むしろ、使わない方が節税になります。

この制度は節税をするために存在する制度ではないのです。誰のための制度なのかというと、将来的に相続税がかかる心配はないが、生前中に110万を超える生前贈与をしたい人のための制度です。相続税は、亡くなった時の遺産額が、基礎控除と呼ばれる金額を超えた人にだけかかります。

相続人が配偶者と子供1人であれば、基礎控除の金額は4200万。配偶者と子供2人の場合には4800万となり、相続人が1人増えるごとに600万ずつ増えていきます。

将来的に、財産額がこの基礎控除を下回る見込みの人におかれましては、相続時精算課税制度は効果を発揮します。しかし、そうではない人は、この制度を使うと節税にはなりませんので、節税にならなくてもいいから早く贈与したい!という人以外は使わない方がいいです。

それと同じように、相続時精算課税も、将来的に相続税のかからない人が使えば効果抜群ですが、将来的に相続税がかかる人に使った場合には、むしろ逆効果となります。

【そもそも相続時精算課税制度とはどういった制度なの?】

まずは、そもそも相続時精算課税制度とはどういった制度なのかということをお伝えしていきます。

この制度は一言でいうと、「生前贈与をするときは2500万円まで贈与税を非課税にしますが、贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した財産も一緒に、相続税を課税しますよ」という制度です。

わかりづらいと思いますので、事例を使って解説します。

例えば、平成25年の段階で1億円持っている甲さんという人がいたとします。

この甲さんが、相続時精算課税制度を使って、子供に2500万円を贈与したとします。この時に贈与税は1円もかかりません。2500万まで非課税ですので。

贈与をした後、甲さんの手元には、いくらの財産が残っていますでしょうか?

答えは・・・

7500万円ですよね。1億円から贈与した2500万を引けば、7500万となります。

その後、時は流れ、平成29年になりました。
悲しいことに、この甲さんはお亡くなりになってしまいます。

この時に、甲さんの手元に残っていた遺産はいくらかというと、7500万円です。

では、この7500万に相続税がかかるのかと思いきや・・・

ここで出てくるのが、相続時精算課税です!!

相続時精算課税を使って生前贈与した財産は2500万まで贈与税が非課税になります。

しかし、その人が亡くなってしまった時には、手元の財産だけではなく、この相続時精算課税制度を使って贈与した財産も含めて相続税を計算しなければいけません。

つまり先ほどの甲さんにおかれましては、手元の財産7500万と相続時精算課税制度を使って贈与した財産2500万を足した、1億円に対して相続税が課税されるというわけです。

「2500万まで非課税」と書かれているのでお得そうに見えますが、結局、最終的には相続税が課税されます。非課税にはなっていないのです。

ですので、この制度の名前をもう一度よくご覧ください。

相続時精算課税制度

この制度は、【贈与をする時は贈与税を非課税にしますが、相続がおきたには、非課税にした分を精算して課税する制度】という意味なのです。

つまり、贈与税が非課税になるだけであって、相続税は課税されますので、節税というわけではなく、税金の先送り、というのが実態です。

【実務上、よく起きる事故~110万の非課税が二度と使えない?!~】

相続時精算課税制度は一度使うと、自動継続で取消は一切できません。

実務上、よく起きる現象として、相続時精算課税制度を使って贈与をしたあとに、通常の年間110万円の非課税枠を使って贈与をしてしまうケースです。

例えば平成25年に相続時精算課税制度を使って1000万贈与をした後に、平成26年に110万円、平成27年に110万、平成28年に110万の贈与をしたとします。

この場合、この人が亡くなった時には、手元の財産に1330万の財産を加えて相続税を計算しなければいけないこととなります。

このことから何が言えるとかというと、一度、相続時精算課税制度を使った場合には、二度と110万の非課税枠を使うことができなくなってしまうのです。

通常の生前贈与は110万までしか非課税となりませんが、その人の財産を減らすことができるので、将来の相続税を減らすことができます。

一方で相続時精算課税制度は、贈与税は2500万まで非課税ですが、結局、全て手元の財産に足し戻して相続税を計算するので、将来の相続税を減らす効果は一切ないのです。

このことから、税金の負担を少なくしたいのであれば、相続時精算課税制度を使ってしまうと、二度と110万の非課税枠が使えなくなるので、使わない方がいいのです。

【この制度を使うと得する人】

例えば、3500万円の財産を持っている乙さんという人がいたとします。

この乙さんのお子さんが自宅を購入することになったので、頭金として1000万を贈与してあげたいと考えました。

しかし1000万も贈与した場合には、177万も贈与税がかかってしまいます・・・

せっかく、少しでも足しにしてほしいのに、こんなに税金かかってしまっては贈与も断念するしかありません・・・・

そんなときにこそ!相続時精算課税だ!

この乙さんが相続時精算課税制度を使えば、1000万円を非課税で贈与してあげることができます。

贈与をした後の乙さんの財産額は3500万から1000万を引いた2500万です。

将来、この乙さんが亡くなってしまった時には、手元の財産2500万に、贈与をした1000万を加算した3500万で相続税を計算することとなりますが、3500万は相続税の基礎控除の金額を下回ります。

つまり相続税がかからないのです。

このようなシチュエーションであれば、相続時精算課税制度は非常に良い制度になるというわけです。みんなハッピーです♪

【まとめ】

相続時精算課税制度は、贈与をする時には非課税ですが、相続が起きたに、非課税にした分を精算して課税する制度です。

使う目的を間違えなければ、とても良い制度ですが、残念なことに、世の中の多くの人が節税になるからと思ってこの制度を使っています。

その背景には、まだ相続に関する勉強が足りていない状態で、相続のお悩み相談を受けるコンサルタントが多いことが挙げられます。この制度を節税になると思って使ってしまったという方たちにお話を聞くと、非常に多くの方が「子供が家を買う時の不動産屋に勧められた」と答えます。

相続税や贈与税に関することは、一つの判断を間違えると、将来的に大きな問題になってしまうことがたくさんあります。重要なことですので、必ず一人の言うことを鵜呑みにせず、専門家にセカンドオピニオンを依頼することを徹底してほしいと思います。

■■■ 著者プロフィール ■■■

表参道相続専門税理士事務所
代表税理士橘 慶太

大学卒業後、23歳で税理士試験に合格。(この年25歳以下で税理士試験に合格したのは全国で70名) 大学在学中から、相続税案件実績日本一の税理士事務所、税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社。丸6年間、相続税専門の税理士として業務に従事。これまで手掛けた相続税申告は、一部上場企業の創業家や芸能人を含め通算150件以上。また、日本全国の銀行や証券会社で相続税セミナーや研修の講師を年間133回行う。
平成29年1月に、完全相続税専門の税理士事務所、表参道相続専門税理士事務所を設立する。

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