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認知症によくある症状~性的異常行動~

2015/7/21 

認知症の症状は、しばしば介護する家族を困惑させます。
認知症に罹った人の真意を測りかねるからです。
本人には確かめようもないことが大半です。
確かめようとしただけで激しく怒ることも少なくありません。
家族が誤解したまま、介護への意欲を失うこともあります。
そのような状況に陥りやすいのが、性的異常行動です。

【介護者にとっては深刻な悩み】

認知症を患って症状が進行してきた患者が、年齢や立場にふさわしくない性的な行動をとるようになることがあります。
息子の嫁に

「布団に入ってこい」

と声を掛ける、下半身を露出する、介護者に性器を触らせようとする、介護者の性器を触ろうとする。

介護者にとっては、認知症を患った人の人格が変わったように感じられる行為です。
人間的な評価が下がり、介護への意欲が失われます。

そのような言動が認知症によって引き起こされると理解されないため、どこに相談したら良いか分からないまま、介護者も鬱々とした気分に陥ります。

認知症に罹った夫の世話をしている妻が浮気の疑いを夫から掛けられることもあります。
金融機関の通帳を妻が管理するようになった頃から、浮気を疑われるようになったと言います。
大事な財産を管理し始めた妻が、自分に内緒でお金を使っているのではないかと疑い、自分に内緒でお金を使うとしたら浮気だろうと考えた結果のようです。

家族会への相談から、妻がカードを作って通帳を夫に返したことで、浮気を疑うことはなくなったと言います。

【気分の若返りと感情のコントロール低下が原因】

性的異常行動は、けっして稀なケースではありません。
介護現場ではしばしば見られる現象です。

しかし、認知症を患った人の人格に疑いを抱き、誤解をすることも少なくないため、問題が表面化することは少ないようです。

「物盗られ妄想」

と同じくらい介護者を悩ませる言動ですが、性が関わってくるため、誤解が生じやすく、語られること自体少ないようです。

性的異常行動が起こる原因は、認知症を患った人の中で若返りが起こっているからです。
どんどん失われていく最近の記憶。残される記憶は昔へと逆行します。
認知症を患って間もない頃ですら、年齢を問われるとだいたい実際よりも若く答えます。
実年齢よりも上に答えるケースはまずありません。

認知症の人がよく語る時代が、その人の「今」です。
意識の上では、その時代の年齢に戻っています。
老年ではなく、壮年に戻り、やがて青年に戻ります。

しかも、感情の抑制が難しくなっています。
実際の壮年期では憚ることができたところでも、抑制が利かず、好意を抱いた相手に性的な接触を求めることがしばしばあります。

身体的な接触を求めるケースが少なくありません。
身体的な接触が安心感を与えるためです。

【やんわりと受け止めることが大切】

性的異常行動は、介護者にとって受け入れるのが難しい症状です。
介護の専門職でない普通の家族では、心理的な負担が非常に大きい言動でしょう。

しかし、いきなり拒否したり、叱ったりすると、本人の混乱は募ります。
なぜ拒否されたのかが理解できないからです。

本人が求めているのは、好意と安心感です。
身体的な接触によって安心したいのです。
子どもが母親に抱かれて安心したがるのと同じような心理でしょう。
手を握ってあげて優しく話しかければ、たいていはそれで安心します。
無理やりそれ以上の行為に及ぶことは、まずありません。
手をとって

「今、美味しいお茶をいれますからね。」

と関心をそらすようにすると、良いでしょう。



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