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民事信託の歴史

2016/3/1 

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今回「信託」の歴史についてお伝えしたいと思います。
歴史をたどるとその制度の趣旨や想いが分かってきます。

信託制度はヨーロッパが発祥の地を言われています。
中世ヨーロッパでは教会に直接寄付することができず、財産のある人は「ユース」と呼ばれる手法で財産を託し、託された人が教会のために財産を運用していました。


その後、11世紀の十字軍の遠征でもこの制度が使われました。

十字軍に参加する兵士が、残された家族のために財産を託する人を決め、託された人が家族のために財産の管理をしていくのです。

万が一帰還できない事態が起こっても、遺された家族のために財産が活かされました。

日本にこの信託制度が入ってきたのは明治時代でした。

しかし、この信託の仕組みを使おうと、信託会社の数が急激に増え、財産の管理がずさんな会社も後を絶たず、そのために信託業法を整備して、取り締まりを強化していきました。

「信託法」と「信託業法」がセットで作られたのが大正11年(1922年)です。

結果、信託ができる会社は急減し、信託銀行が主にこの分野で活躍するようになります。
信託といえば、信託銀行が思い浮かぶようになっているのはこのためです。
そして、信託といえば、運用目的の「投資信託」などが真っ先に出てくるのも信託銀行主導の商品が宣伝されているからです。

実は「信託法」制定当時の大正の時代から「民事信託」の仕組みは作ることができました。

しかし、商事信託中心の法律であったために、なかなか活用することが難しく、平成19年の信託法の改正によりようやく民事信託の活用の道ができてきたのです。

平成19年から現在まで9年近くもありますが、なぜ今までこの民事信託の制度が活用されてきていなかったのでしょうか?

実は税金の問題が密接に関連しています。アメリカでは信託を利用すると税金が軽減されるのです。
そのため積極的な活用がされます。
かたや日本では、民事信託を使うことによって直接税制のメリットはありません。

相続問題といえば、「相続税の問題」と言われていた時代には、日の目を見なかったのですが、税だけではなく権利関係の調整問題がクローズアップされるようになり、権利関係の調整で威力を発揮するこの「民事信託」の活用が急増するようになっているのです。

実は民事信託の仕組みをうまく使うと、相続税の対策にもなります。

ちなみに信託銀行の商品にある「遺言信託」は信託法上の信託とはあまり関係がありません。

あくまで遺言書を作成して預かるサービスを「遺言信託」と言っているだけで、信託の仕組みを使っているものではないのです。

生前から相続後までの権利関係を調整するためには、「民事信託」の仕組みを使った信託契約を作りことが重要であり、このサービスを信託銀行は扱っていません。

遺言書だけではかなえられないこの民事信託の仕組み。是非知っておいて頂きたいと思います。

≪信託とその他の制度の比較≫


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