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民事信託を使った共有不動産対策

2016/5/1 

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 「不動産を共有名義にしてはいけない」というのは今の時代セオリーになっています。特に相続時に兄弟姉妹同士で共有にすることは、あまり得策ではないという考え方が浸透しています。
 しかし、少し前の登記を見てみると、兄弟姉妹間の共有名義で登記されている不動産は多くあります。兄弟姉妹間で話し合いがつかず、とりあえず平等に分けるために同じ割合で登記してしまったのだと思われます。その場では納まるためいいのかもしれませんが、時間をおいてから問題が発生します。なぜなら、当事者が複数だと、不動産を活用する場面で意見の相違が起こり、うまく運用できなくなるからです。特に兄弟姉妹同士が持っている間はいいのですが、そのうちの誰かに相続が起こってしまうと、その配偶者や子が相続人になります。親族関係にあるとはいえ、この関係は意見の調整が難しくなることが多いです。
 ただ、どうしても話し合いがつかなかったり、一つの不動産の資産価値が突出して高かったりすると、どうしても分割できないことがあります。その際、民事信託を使うとうまく解決ができます。

 事例で見てみましょう。

 家族構成は母・長男・長女・次男の4人。財産は自宅兼マンション(評価2億円)と預貯金・株式など2000万円。自宅には母と長男が住んでおり、長男がマンションの管理もしています。最近マンションの大規模修繕をしたので、手元の現金があまりありません。
 長女と次男は自宅を離れ、別に家族と暮らしています。

 母の財産構成で自宅兼マンションが大部分を占めているので、もし同居している長男が不動産を引き継いでしまうと、長女と次男の取り分は極めて少なくなります。長男が多く取る分代償金としてお金を渡そうにも、もし3人平等に分けようとすると、合せて1.4億円を用意しなければならず、長男の手許現金はそんなにありません。共有名義にして、収益を分配するしか方法がなさそうです。

 そこで民事信託の仕組みを使います。お母様の相続時に、長男が管理処分権限を持てるような契約を作り、長男の名義にします。しかし、収益は兄弟3人に分配できます。登記上は長男の名義にしますが、税務上は3人の名義になりますので収益の分配を受けても長男からの贈与ではなく、所得として計算されます。
 管理処分権は長男が持っていますので、長男主導で管理や売却ができるようになり、不動産の固定化を防ぐことができます。
 ちなみに長男が売却を希望した場合、長男の判断で売買契約ができ、その売却代金は3人で分配することになります。長男以外にもお金の分配が行われるので、不満が出にくくなりますね。
 このように管理をする人(受託者)と収益をもらう人(受益者)が分かれることにより、受託者が単独で行動できますので、通常の共有状態の問題は解消されることになるのです。
 今後このような手法で遺産分割を行う家庭も増えてくると思います。
(文責 司法書士門脇紀彦)

長男長女次男

 

 
 
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