ふるさと納税が危機的になっている理由
2018/10/15総務大臣から存続の危機とまで言われている「ふるさと納税」。しかし納税者側である私たちからすると、節税にもなり、返礼品も期待できるとあってなかなか好評のようです。
が、そもそもなぜ、このような「危機宣言」が出るようになったのでしょう?そもそもの制度設計に戻ることで今一度、この制度の意義について見直してみたいと思います。
「ふるさと納税」という問題提起
2007年に発表された「ふるさと納税報告書」によればこの制度がスタートした経緯はこのような背景だったようです。
当時の総務大臣・菅義偉氏の問題提起がスタートと言われています。即ち、多くの国民が故郷で育ち、教育を受けます。が、そののち、進学あるいは就職という形で今度はその居住地である都会で納税をすることになります。そうしますと大都会では税収が上がりますが、その分、彼らが育った「ふるさと」の税収は減ってしますのです。そこで今は都会に住んでいるが、自分を育ててくれた「ふるさと」に自分の意志でいくらでも納税ができるという制度があってもよいのではないかというのが当時の総務大臣の問題提起だったのです。(1頁)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/furusato_tax/pdf/houkokusyo.pdfこれに対しては当然ながら反対論もありました。特に大都市はふるさと納税をされることにより、その分が減収になる恐れがあるからです。
注目すべきは、こうした反対論もあるのですが、ふるさと納税には上記・報告書でも指摘されるとおり、3つの大きな特徴があるとされています。
特徴その1:納税者が納税地を自由に選択をできる
この議論が起きる前は当然ですが、納税地を自分で選択できるということです。例えば、もしあなたが岐阜県に住んでいたとしましょう。この場合、一般的には岐阜県に納税をすることがほとんどだと思います。
逆に岐阜県に納税したから岐阜県に住み、働くという選択肢をしますでしょうか?もちろん、そうした人生の選択をされる方も少なくないかとは思いますが、このふるさと納税が導入されることにより、納税者が税金を納める自治体を自分の意志で選択することができるという画期的な仕組みができるところが1つ目の意義と言えます。特徴その2:「ふるさと」は個人の価値観によって決められる
ふるさと納税における「ふるさと」については具体的に定義していません。これは「ふるさと」を出生地と定義するのか、養育地と定義するのかという問題もさることながら、たとえば、災害ボランティアで訪問した地域を金銭的に支援したい、とか旅行で訪問した地域を支援したいという意思を排除しないことで豊かな地方を育てるという側面が強く反映しているのです。特徴その3:地方自治体同士の競争の発生
ふるさと納税制度が導入されることで期待されたのが自治体同士の競争が起きることです。前述したように、納税者が納税地を選ぶことができる仕組みなので、各地方自治体が納税をしていただくためにその魅力をアピールす必要があります。
その結果、地方の活性化が期待されたわけです。現実は…ふるさと納税を廃止する自治体も…。
しかし、現実には、自治体が魅力をアピールする方法が「返礼品」の豪華さで競うことになってしまったのは事実のようです。
総務省の通達では、返礼品は、納税額の30%までと決まっています。即ち、10,000円の寄付であれば3000円の返礼品までということですね。しかし現実にはそれ以上の返礼品を渡す自治体も多く、そのことがふるさと納税の趣旨を歪めるという意見が多く出始めました。
通達だから法的拘束力はないと高をくくっていた自治体もあったのですが、議会から「ふるさと納税の廃止」を議決された例もあるようで、今後は過度な返礼品競争は少なくなるのかもしれません。
是非、本来の趣旨に帰った納税をしたいところです。(文責:定年生活事務局)
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