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シニア婚活を円滑にすするための公正証書遺言って?

2019/4/2 

50代からの婚活・「シニア婚活」が熱を帯びています。が、結婚をするということは「家族」になるということ。50代から結婚をされようとする方には、家族のご反対が多かったりします。具体的に考えるために、簡単なモデルケースを設けます。

【あるケース】
例えば、Aさん(65歳)にはBさんと結婚し、Cさん(28歳)とDさん(25歳)というお子さんがいたことにします。その後、Bさんとは離婚し、今、Eさん(54歳)と出逢ったことにします。EさんにはFさんという前の旦那さんとの間にGさん(20歳)とHさん(22歳)というお子さんがいます。Aさんは再婚に際し、多くの遺産を前妻の子・CDに多く残すべく遺言を書きたいと思っている…。

 このケースでAさんとEさんが再婚をしようとします。Aさんがその後、亡くなった場合、後妻さんの法定相続分は2分1ですので、残りの2分の1をC・D・G・Hさんという4人の子供で分割することになります。もともとAさんのお子さんCさんとDさんには法定相続人であるはずのAさんの配偶者がいなかったのに、突然、再婚し、配偶者であるEさんにはさらにお子さんもいるとなれば、Aさんの再婚にCさん・Dさんが反発することは十分あり得ることでしょう。

 ここでAさんが書きたいという遺言。実はわが国では遺言には3つのパターンがあるのです。それは自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類です。

自筆証書遺言
 これは遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することで成立する遺言書です(民法968条)。この方式おメリットは以下の通りでしょう。
メリット1:誰にも知られずに遺言書を作成できる。
メリット2:遺言書の作成に際し、費用が掛からない。

 一方でデメリットは以下の通りでしょう。
デメリット1:方式不備で無効になるケースが多い。
デメリット2:遺言書が発見されないケースや偽造・変造されるケースが多い
デメリット3:遺言書の紛失や他人により毀棄・隠匿の可能性もある
デメリット4:家庭裁判所による検認手続きが必要とされる(民法1004条)。
デメリット5:自署をめぐって争いが多い。パソコンやタイプライターは自署にはあたらない

秘密証書遺言
 秘密証書遺言とは、遺言者が遺言内容を秘密にして、遺言書を作成したうえで、封印した遺言書の存在を明らかにする。しかもこの過程に公証人を関与させる方法で行われる遺言です(民法970条)。利用件数はあまり多くないようです。メリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1:自署能力がなくても遺言書を作成できる。
メリット2:遺言の存在を明らかに出来るために死後に遺言が発見されないとか、毀棄・隠匿といった危険性を排除できる。
メリット3:遺言の内容を死亡の時まで明らかにしておくことが出来る。

 一方、デメリットは以下の通りでしょう。
デメリット1:遺言をしたという事実が明らかになってしまう。
デメリット2:封筒に入れるさいなどに、遺言内容が他人によって変造される可能性がゼロではない。
デメリット3:作成に当たって費用が掛かる。
デメリット4:無効となる恐れが公正証書遺言と比較すると大きい。
デメリット5:家庭裁判所の検認手続が必要である(民法1004条)。

 費用がかかる割には無効となるケースや家庭裁判所の検認手続きが必要と言う点があまり活用されない原因といえるでしょう。

公正証書遺言
 公正証書遺言とは、遺言者が遺言内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式です(民法969条)。

 この方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット1:専門家である公証人が関与するので紛争の回避になる。
メリット2:遺言書は公証役場で保管されるので偽造・変造の可能性が低い。
メリット3:家庭裁判所の検認手続きを経ずに遺言内容を実現できる。

デメリット1:費用が掛かる。
デメリット2:遺言の存在が外部に明らかになる可能性がある。

 このように見ていくと、公正証書遺言は偽造・変造される可能性が低く、また家庭裁判所の関与なく、遺言内容が実現できることからも家族関係が複雑化する方にはお勧めの方式かもしれません。
 ところで、デメリットといわれる費用については別途、ご説明をしたいと思います。

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(文責:定年生活事務局)
参考文献:潮見佳男『詳解 相続法』(2018 弘文堂)
 



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