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軽減税率が適用されてもケンタッキーフライドチキンは持ち帰ってもその場で飲食しても値段が変わりません

2019/7/20 

軽減税率とは?
 我が国における軽減税率とは、2019年10月1日に、消費税率が現行の8%から10%に上昇するに際し、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読をされた週2回以上発行される新聞」に対し、消費税が8%に据え置かれる制度です。

(詳細は下記、国税庁の資料をご覧下さい)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0017007-067_02.pdf

ここでいう軽減税率とは、一義的な定義が確立されているわけではなく、物品の購入にあたって消費税が導入されている国において主に低所得者対策として一部の対象品目には標準税率から軽減した税率を適用するという複数税率を指すと理解するのが正当でしょう。

関心事の一つは、外食に当たるかどうか
 ここで軽減税率が適用されるどうかのポイントの一つが「外食」に当たるかどうかです。諸外国の例から見ていきましょう。
 カナダでは「ドーナツ5個以内」は「外食」とみなし消費税6%を課税し、「ドーナツ6個以上」は「その場では食べられない」とみなされ「食料品」となり、消費税は非課税となっています(2013年1月時点)。
 ドイツはハンバーガーを食べる場所により変わり、店内で食べると「外食」とみなし消費税19%を課税し、「テイクアウト」にすると「食料品」とみなし、消費税を7%に減税しています(2013年1月時点)。
 この様に、「外食にあたるか「食料品」に当たるかによって税率が異なるばかりでなく、その税額も大きいことから消費者にとっては重大な関心事になっています。

 日本では軽減税率の導入に当たって「外食」を「食料品」から排除することになりました。ここでいう「外食」とは、食品衛生法上の「飲食店営業などで、テーブル、いす等を設けて飲食させるための設備を置いた場所で、食事を提供する」と定義することにしました

 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0017007-067_04.pdf
(詳細は上記、国税庁発行資料にて公表しています)

・コンビニなどの「イートイン」はどうなる?
 
 恐らくここでいう「外食」とは定義を日本語通り、解釈すると「レストラン」を想定していることは明らかです。ところが日本には多くのコンビニエンスストアがあり、そのコンビニの中には飲食ができるスペース・いわゆる「イートイン」スペースがあります。
 このイートインのスペースでの飲食が「外食」か「飲食品」にあたるかが非常に大きな問題になりました。

 単純に考えれば、「イートイン」は自身で買った食料品を「その場で食べる」行為であり、飲食品の「提供」を受けているわけではないから、「外食」にはそもそも当たらないように思えます。一方で、持ち帰って食べているわけではないですし、イートインというスペースそのものは「テーブル、いす等を設けて飲食させるための設備を置いた場所」には当たるので、「外食」にあたるようにも思えます。
 この点、国税は下記資料の「問45」に対する回答として、イートインスペースでの飲食は「軽減税率の対象にはならない」と明言しています。一方で、持ち帰りの場合には軽減税率の対象」になるわけですから消費者が正確な申告をしなかった場合、軽減税率適用分、安く飲食ができるのではないかという問題が生じています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-05.pdf

ケンタッキー・フライド・チキンは、持ち帰りも店内飲食も同じ値段に・・・

 税率の適用の問題もさることながらコンビニエンスストアの様に、レジで大量の人が一度に決済をするケースにおいて当該購入品が、軽減税率の適用外になるかどうかを逐一、確認するのはそもそも事務作業の観点からも現実的ではないでしょう。
 その矢先、ケンタッキーフライドチキンを運営する日本KFCホールディングス株式会社は、2019年7月19日、店内での飲食と、持ち帰りの場合でお支払いいただく税込価格を統一すると発表しました。

 http://japan.kfc.co.jp/news_release/news190719.html

 ケンタッキーフライドチキンのオリジナルチキン1ピースの現行価格は税込250円。消費税率10%への引き上げ、軽減税率制度導入後も、店内飲食の場合と持ち帰りの場合ともに、税込価格250円で変更はないことになります。そうすると、税抜価格は、店内飲食の場合227円、持ち帰りの場合231円。事実上、店内飲食をする場合、「値下げ」をすることになります。
 消費者にとっては、大変にうれしい判断ともいえますが、喜んでばかりはいられません。

 事業者にとって、軽減税率の導入は大きな負担になります。というのは、消費者に売る際には、場合によっては8%になってもその原材料の仕込み(調達)には軽減税率は適用されませんから、10%のまま。そこで軽減税率が適用される商品が増えることは企業の収益(体力)を悪化させることにつながります。
 そうなると、企業は経理努力の名のもとに従業員の賃金を下げたり、雇用を控えるようになります。結果、個人消費への落ち込みへとつなげる負のサイクルに陥る危険性もあります。

 本来は、消費者に歓迎されるべき今回の措置。他の事業者がこれに追随するのかが注目されます。


(写真はイメージです)

 (文責:定年生活事務局)



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