生前贈与VS相続税 どちらがより賢い節税になるかをシュミレーションしてみます
2019/12/252019年も終わりを迎え、年が明けると間もなく、確定申告のシーズンとなります。大切な資産を守りぬくために、税金の仕組みを知っておきたいと思われる方も少なくないでしょう。今回は贈与税と相続税を対象に税金のシュミレーションをしてみたいと思います。
贈与税の場合
贈与税の税率を一覧にしてみました。金額は基礎控除後の課税価格です。
・200万円以下 税率10%
・400万円以下 税率15% 控除額10万円
・600万円以下 税率20% 控除額30万円
・1000万円以下 税率30% 控除額90万円
・1500万円以下 税率40% 控除額190万円
・3000万円以下 税率45% 控除額265万円
・4500万円以下 税率50% 控除額415万円
・4500万円超 税率55% 控除額640万円相続税の場合
次に相続税のケースを見てみましょう。金額は基礎控除などの控除後の課税価格です。・1000万円以下 税率10%
・3000万円以下 税率15% 控除額50万円
・5000万円以下 税率20% 控除額200万円
・1億円以下 税率30% 控除額700万円
・2億円以下 税率40% 控除額1700万円
・3億円以下 税率45% 控除額2700万円
・6億円以下 税率50% 控除額4200万円
・6億円以上 税率55% 控除額7200万円どのような印象を持たれましたでしょうか?単純に税率の計算だけですと、贈与税は非常に高い印象を持ちます。では贈与税が発生しない様に生前贈与は避けるべきなのでしょうか?
贈与を駆使して相続税を節税する?
贈与税が縁遠いかといわれれば、必ずしもそうではありません。贈与税は110万円の基礎控除が設けられています。つまり年間100万円の贈与であれば贈与税は0円になります。財産の一部を生前に贈与し、課税対象となる相続財産を減らしておくと、必然的に相続発生時の相続税が減ることになるのです。例えば、基礎控除後の課税価格4500万円から3人の子に110万円づつ、生前贈与した場合、たった1度の贈与で相続税が49万5000円減ることになるのです。
・贈与しない場合
各人相続税=4500万円÷3人×15%-50万円=175万円
相続税合計=175万円×3人=525万円(この数字を忘れないでください)・贈与した場合
各人相続税=4500万円-330万円÷3人×15%-50万円=158.5万円
相続税合計=158.5万円×3人=475.5万円
↑
49万5000円のオトク贈与の強みはこれだけではありません。贈与の場合、贈与を使った財産分与を何回も行えることです。つまり、110万円の贈与を毎年、3年にわたって行う。その様な場合、相続財産を無税で990万円まで減らすことが出来ます。結果、
各人相続税=4500万円-990万円÷3人×15%-50万円=125.5万円
相続税合計=125.5万円×3人=376.5万円
↑
148万5000円のオトク
になるのです。・贈与税を払ったほうが良いケースも・・・
意外かもしれませんが、110万円という枠を超えて、でも「贈与税を払って生前贈与したほうが節税になるケース」もあります。
ちょっと計算シュミレーションをしてみましょう。お子様が3人いらっしゃるケースで300万円を3年間にわたって贈与したとします。この場合、贈与額の合計は2700万円となります。まず、贈与税を見てみましょう。
・贈与税額 贈与金額(300万-基礎控除110万円)×10%=1階の贈与税で19万円の納税義務が生じます。
この19万円×3人分を3年間続けると
171万円の贈与税が生じます。次に相続税をみてみましょう。
・相続税額(4500万円-2700万円)÷3人×10%=60万円
この3人分ですので、180万円となります。次に、贈与税の171万円と相続税の180万円を合計すると、351万円となります。
何もしない場合、
贈与しない場合
各人相続税=4500万円÷3人×15%-50万円=175万円
相続税合計=175万円×3人=525万円
ですので、174万円の節税ということになります。こうしたからくりは、贈与税と相続税の税率差です。相続が発生すれば高い税金がかかってしまうお金を生きているうちに低い税額で渡してしまう。これが贈与税を使った相続税せつぜいのからくりといえます。
但し、相続開始前3年以内に法定相続人の贈与された財産は相続税の計算基準になる相続財産になるので注意が必要です。こうした金額は個々人によって差があるかエースも多いので、関心のある方は税理士に相談をされることをオススメします。
(文責:定年生活事務局)
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