新型コロナウイルスの蔓延に伴って世界の多くの都市が甚大な影響を受け、ヨーロッパやアメリカでは多くの都市で都市を封鎖するというロックダウンを行うことで、大規模な蔓延を防ぐ取り組みが行われています。
　日本でも北海道の鈴木知事が、2月28日、緊急事態を宣言、週末の外出自粛を要請[391]、3月1日に「人が大勢集まり、風通しが悪い場所」に行かないことを要請、緊急事態宣言は19日で終了しました。
　東京都の小池百合子知事が2020年3月25日には、東京都のロックダウンがあり得ることを示唆しています。

　こうした北海道や東京都の外出自粛要請も下記のように、ロックダウンの一種と考えて良いでしょう。

　実はロックダウンは感染症対策等よりは、これまでは諸外国ではテロ対応などで使われてきた対応策です。本投稿ではロックダウンの定義や過去に行われたロックダウンを知って頂くことで心構えを持っていただければ幸いです。

ロックダウンには２種類がある

　まず、ロックダウンには緊急ロックダウンと予防的なロックダウンの２種類があることをまずは知りましょう。
　第1に、予防ロックダウンというものがあります。これは、安全を確保するために、考えうる限りでのあらゆる危険を回避するために、最悪のシナリオやシステムの脆弱性に対処される予防措置です。北海道などの、感染や被害を広げないための自粛要請などもこちらに含まれると考えて良いでしょう。

第2に緊急ロックダウンというものがあります。これは、人命に対する差し迫った脅威またはリスクがある場合に実施されるケースです。2001年にアメリカ同時多発テロ事件が発生した時には民間領空が3日間封鎖されましたが、これは、代表例でといえるでしょう。

過去に行われたロックダウン

世界では、多くのロックダウンが行われてきました。特に2001年のアメリカ同時多発テロ事件が発生した際にもロックダウンがお行われましたが。それ以降にも以下の様なケースでロックダウンが行われています。

クロナラ暴動（シドニー）

　2005年にはオーストラリアのシドニーで、レバノン系若者と白人若者との間でクロナラ暴動が発生。ニューサウスウェールズ州政府は、緊急事態に関して州内の特定地域と道路をロックダウンする権限を警察に与え、警察はサザランド・シャイアなどをロックダウンしました。
　この騒動では2日間で、104人が逮捕される事態になりました。

ボストンマラソン爆弾テロ事件

2013年4月15日に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件ではボストン市内全域がロックダウンされ、テロリストの探索がなされました。結果、当局は容疑者を、2002年頃に難民としてアメリカに移民したチェチェン人の2人兄弟で、技師を目指しマサチューセッツ州で評価の高い2年制のコミュニティー・カレッジで工学専攻のタメルラン・ツァルナエフ（1986年10月21日生まれ、事件時26歳)と、マサチューセッツ・ダートマス大学で口腔学専攻のジョハル・ツァルナエフ（1993年7月22日生まれ、事件時19歳)と断定。

　4月19日には、タメルランはジョハル・ツァルナエフが逃走しようとした際にひき殺され、死亡。その夜、ジョハルも死亡が確認され、ロックダウンは解除されました。

新型コロナウイルス感染症の流行

新型コロナウイルス感染症の流行では中国、イタリア、フランス、EU、マレーシア、アメリカ合衆国のカリフォルニア州などでロックダウン措置が実施されました。特に新型コロナウイルスの発生源とされる中国の武漢市で2010年1月23日に、都市封鎖（ロックダウン）を決定しました。

　中国以外で最大規模の被害が出ているイタリアでも2020年2月22日、ロンバルディア州ローディ県10自治体やヴェネト州のヴォーを封鎖。3月7日、ロンバルディア州全州、エミリア＝ロマーニャ州、マルケ州、ピエモンテ州、ヴェネト州に拡大、ミラノやヴェネツィアも含まれ、4月3日まで学校・スキーリゾートの閉鎖、スポーツ・冠婚葬祭などイベントの中止、バー・レストランの営業制限に。3月10日、北部に限定されていた移動制限と休校、レストランや喫茶店の夜間営業停止が全土に適用。また3月12日-25日まで、生活必需品販売店や薬局などを除く全商業活動休止。
　しかし、住民の外出は止まず、8日間で5万1000人の違反者が出たため、3月17日に政府は、感染を隠して外出した場合、虚偽の申告で公衆を危険にさらしたとして、懲役最長12年を科すと厳罰化することを決めました。

　こうした対策の有用性は今後、検証されることになりますが、従来は犯罪対策で使われてきましたが今後は感染症対策として使われることにもなりそうです。またロックダウンも2種類あるので、同じ対策でも意味合いが異なるケースも多いようです。

　ヨーロッパのコロナ対策は緊急ロックダウンに近いといえるでしょう。巷では同じ言葉が違う用法で使われるケースもあるので、自分なりに咀嚼しておくと混乱しないかもしれません。

（文責：定年生活編集部）