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コロナウイルス禍で急増が予想される滞納賃料とその対応策について

2020/6/18 

コロナウイルス問題で各種の経済活動の自粛に伴って職を失ったり、収入が減る方が増えてくれることが予想されます。さらには今後、賃料を滞納する入居者の方の増加も予想されます。そうなりますと賃料の取り立てや長期にわたる滞納といった問題が生じます。
 長期にわたる滞納は結果、立ち退きを求めるケースも増加が予想されます。今回はその様なケースに際し、どの様に対処すべきかを大家(賃貸人)目線で検討したいと思います。

管理会社が行える内容には限界がある

 賃料の回収や立ち退きについて賃貸人サイドとしては、賃貸管理会社にお願いするケースが多いかと思います。たしかに管理会社に毎月、いくらかの管理費用を払っているので、賃料回収や立ち退き交渉の一切をしてほしいという気持ちを持たれると思います。

 しかし、管理会社の活動には限界があるというべきです。たしかに督促状や事務的な電話位であればしてくれるでしょうが、管理会社が明け渡し交渉をするなどということは恐らく法的にも不可能です。また法的紛争の一歩手前であると言われる内容証明の送付でさえ、管理会社内の社内規則によっては有償対応になるケースがあるということを知っておきましょう。
 
 簡単に解除通知から明け渡しまでのフロー図を見ておきましょう。

問題の発生・依頼

電話等による督促

内容証明郵便の発送

解除通知発送

訴訟提起

裁判

判決言い渡し

判決の受領

判決の確定

強制執行準備(執行文付与申立)

強制執行申立

明け渡し催告

当該不動産明渡完了

弁護士に頼むのも費用が掛かります

 では管理会社ではなく、弁護士に対応をお願いすると仮定しましょう。そうなると当然、費用が掛かります。裁判だけでも50万円前後、さらには訴訟となると裁判所に支払う印紙代、さらにょ製執行までとなると、執行官(裁判所の職員)への手数料、中にある賃貸人の物品を運び出す費用や鍵の付け替えなど、100万円単位のお金が必要になるでしょう。

 こうしたお金を回収できれば良いです。法的には入居者だった方や連帯保証人の方に請求することになるでしょう。しかし相手は多額の賃料を滞納するほど、経済的に困窮しているかたです。まさに「無い袖は振れない」ということで回収することは事実上、困難であることが多く、結果としてオーナーの自腹となることが少なくないのです。

家賃滞納する人は明け渡しには応じにくい・・・

 こうなる前に明け渡しは行えるのがベストです。というのは裁判沙汰になるまで滞納されるかたは生活に困窮している方も多く、引っ越しをしたくてもその費用さえ捻出できない方も多いです。結果として、上記と同じ結果になる可能性が大きいのです。

 全てというわけではありませんが、こうした事情を鑑みて、最後まで粘ってそこに居続け、諸々の費用を踏み倒す方も少なからずいらっしゃるのも事実です。

 ではオーナー側としてはどの様に対処すればよいのでしょうか?

解決策1:保証会社を活用する

 賃借人入居の際に保証会社への加入を義務付けることです。保証会社つきであれば、滞納賃料を保障してくれるので通常は明け渡し費用までもカバーしてくれるケースもあります。

解決策2:判決を取り、分割払いに応じてもらう

 親からの相続や居抜き物件での購入のため、賃借人が保証会社に入っておらず、結果として滞納になってしまうケースが考えられます。こうしたケースでは保証会社の様な解決策は見込めません。もちろん、後から保証会社に入ってもらうケースもあり合えますが、滞納が始まってからでは遅いでしょう。

 こうしたケースではできるだけ早い時期に法的訴訟の準備をします。実は少額訴訟制度というのが金額が60万円以下のケースでは簡易裁判所を利用して穂的な解決を目指すのです。実はこのケースでは同じ専門家でも弁護士だけではなく、司法書士も訴訟代理人になれ、且つ費用も100,000円前後と非常に廉価です。
 また金額が少額であれば弁護士は受任しないことが多いです。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_02/index.html
(少額訴訟における裁判所の案内です)

 こうしたケースで相手方と和解をし、少ない金額をさらに2年間の24分割のように払える範囲での分割払いという形で決着させる方法もあり得ます。
 このケースでは相手方が任意の支払いに応じなければ、結果としてオーナー側の自腹ということになりますが、私が経験したケースでは全額の回収が出来たケースもあるので、選択肢としてお間あげになることも有益です。

 家賃の滞納は大家側にとっての精神的な苦痛がとても大きいです。問題がこじれる前に早め早めに対処することが重要です。

(執筆者)200万円からの不動産投資をする大家さん

名古屋や福岡といった地方都市をメインに投資総額を200万円前後に収める不動産投資法を行う。定年生活内でも「200万円から始める画期的不動産投資法」や「200万円から始める画期的不動産投資法実践編~お宝不動産物件との出遭い方」といった連載コラムを過去に掲載した。リスクを最小限にリターンは最大限にする方法論に定評がある。



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