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ふるさと納税をめぐる国と泉佐野市の法的紛争は泉佐野市の勝利となりました

2020/7/6 

泉佐野市が、ふるさと納税制度の指定から除外されたことは違法だとして国に取り消しを求めていた裁判で、最高裁は、6月30日、市の主張を認め国の決定は違法とする判決を言い渡しました。

事の発端は、国が、法律を改正して、2019年6月から総務省が示す基準に従わない自治体はふるさと納税制度から除外するという「事前審査制度」を導入したことにあります。泉佐野市も当然、審査の申請をしたわけですが、過去に泉佐野市は総務省の助言に従わなかったとして、ふるさと納税制度の指定を受けることができませんでした。

 しかし泉佐野市は当該行為時に違法な行為はなかったのであるから国に方針を変更するように求めていました。
 が、国は泉佐野市などを除外する方針を変えず、泉佐野市は国に決定の取り消しを求めて出訴をしました。

高等裁判所と最高裁の違い

総務大臣に広範な裁量が認められ、泉佐野市を指定しなかったことに、裁量権の逸脱・濫用はないとして全て国側の主張を認めました。一方で、最高裁は待った異なる判断を下さいました。
 簡単に今回の判決の骨子を見ていきましょう。

①本件改正以前においては、返礼品の提供について特に定める法令上の規制は存在せず、総務大臣により「技術的な助言」が発せられていたにとどまっていた。国は普通地方公共団体が国の行った助言等に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない。その趣旨は、普通地方自治体は国の助言等に従って事務を処理すべき法律上の義務がないからである。

②本件は、総務大臣の「技術的な助言」に従わなかったことを理由として不利益な取扱いがなされているが、地方自治体に不利益を与えるような基準を大臣の裁量に委ねるのは適当ではない。したがって、告知において、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分を指定除外の要件としたことは、委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。

③アマゾンギフト券の交付は、社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものであるが、法律施行前における泉佐野市の返礼品の提供の態様をもって、法律施行後においても同市が同様の態様により返礼品等の提供を継続するものと推認することはできない。そのため、泉佐野市が法定返礼品基準に適合するとは認められないと判断することはできず、泉佐野市が法定返礼品基準に適合するとは認められないことを理由として指定をしないものとすることはできない。以上によれば、本件不指定は違法というべきである。

要約すると・・・

 以上が判決の骨子になりますが、簡単にいうと以下の通りです。

①泉佐野市がふるさと納税の対価として、地元の返礼品でないAmazonのギフトカードの交付は節度を欠いています。
②しかしだからといって返礼品の提供については法令上の規制ではなく、あくまで助言レベルに過ぎなかった。
③仮に泉佐野市が助言に従わなかったとしてもこうした助言に従わなかったとして法律の根拠なく、不利益な取り扱いをしてはいけない。
④法律の施行前の寄附金の募集及び受領について指定除外の要件としたことは、委任の範囲を逸脱した違法である。

 これは要するにこれまでAmazonのギフト券などを返礼品として配ることは節度を欠いているが、法の施行後までそれを続けるとは限らないのであるから、後から決めたルールに適合しないからといって除外することは違法であるという内容です。

そもそもふるさと納税の役割とは・・・

 今回の判決を下した宮崎裕子裁判官は、補足意見(※)の中で、ふるさと納税について「税の問題」なのか「寄付の問題」かによって返礼品の位置づけが変わると指摘しています。納税の問題であれば返礼品には一定の縛りが生じるでしょうし、寄付の問題であれば返礼品に縛りがないことになります。

 この判決が出されたのち、国は泉佐野市を含む除外した市がふるさと納税に復帰できることが正式に決まりました。

CMでお馴染みのふるさと納税サイト【さとふる】


補足意見とは、補足意見とは、個別の裁判官が判決理由以外に特に言いたいことを補足的に記載するもの

 (文責:定年生活編集部)し

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