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新型コロナ「特措法改正案」何が変わるのか 重点措置と過料の導入、財政支援の明記

2021/2/6 

新型コロナウイルスの感染拡大に対応して罰則を設ける特別措置法と感染症法の改正案が2021年2月3日、参院本会議で可決、成立した。与党である自民・公明両党に加えて、野党である立憲民主党や日本維新の会が政府提出法案から刑事罰などの除外で修正合意したため、審議が4日間というスピード成立ということになった。国民民主党と共産党は反対した。成立したのは新型コロナに対応する改正特別措置法、改正感染症法、改正検疫法である。

 これまでとの最大の違いは。

飲食店などが営業時間の短縮命令に従わなかったり、患者が入院を拒否したりした場合に、行政罰である「過料」を科す

 点にある。感染症法は患者が対象になる。緊急事態宣言などの有無に関係なく平時から適用する。入院を拒否したり、入院先から逃げたりした場合に「50万円以下の過料」を科す。保健所の感染経路調査の拒否や虚偽回答に「30万円以下の過料」を設けた。

 また、飲食店への罰則も明記された。

 特措法改正案は休業や営業時間短縮の命令に反した事業者らに対し、緊急事態宣言下なら30万円以下、前段階の「まん延防止等重点措置」の下なら20万円以下の過料を定め

図にまとめると以下の様になる。


(出典:日本経済新聞)

これらの法改正により行政は医療機関に患者の受け入れを勧告できるようになり、正当な理由がなく患者の受け入れを拒否した場合には医療機関名の公表が可能となる。なステージ3とステージ4の区別をする6つの指標とは以下の通りである。

 以上の中でステージ3の際に行うのが、「まん延防止等重点措置」、ステージ4の段階で行うのが緊急事態宣言という位置づけになる。
 同時に、事業者への給付に関しては、政府が事業規模に応じた支援の在り方を検討し、「効果的な支援」に取り組むことが明記された。

過料とは?

 そもそも当初の政府案では入院を拒否したり入院先から逃げたりした感染者に対し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を規定。感染経路を追跡する「積極的疫学調査」に協力しなかった人にも、50万円以下の罰金を科すと定めていた。
 これを金額も低くし、しかも過料にした。

 そもそも罰金と過料はどう違うのだろうか?
 私たちが良く経験する罰金と言えば、道路交通法における交通反則金の制度が有名である。道路個通法違反行為に対して、違反者に対し、反則金の納付が告知される。反則者がこれを納付すると刑事裁判には課されないが納付しないときは通常の刑事手続きに移行する。要するに刑事訴訟法の適用があるので行政罰は前科が付くと言われるゆえんにもなる過

 一方で、過料というのは行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して課される罰である。典型例は住民基本台帳に定める届出義務違反に対する過料がその代表例である。
 この場合、過料はその過料に処される者の住所地の地方裁判所で課され、納付しないときは地方税の滞納処分と同じ扱いになる。要するに刑事手続きではないというてんがポイントである。

 今回は当初、予定されていた行政罰を野党の「重過ぎる」という要求で過料にしたことになるが、刑の加重の問題にとどまらず、対象となる事案の性質からも過料が適切ではないと思われる。

(文責:定年生活編集部)



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