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定年退職後の資格取得 60代から取得したい資格のおすすめ5選

2022/8/6 

定年後に、新たに資格を取得しようとするシニア世代の方は多くいます。 老後の趣味の知見を深めるためだけでなく、再雇用を受けて働くうえでも役立つため、セカンドライフをより充実したものにすることができるでしょう。

この記事では、定年後に取得を目指す際におすすめの資格の種類や、資格取得の方法について独自の視点でご紹介いたします

・資格にも2つの資格がある

 資格試験と聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか?難しそうとか自分には無理そうといったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?
 実は資格といっても2つの性質のもの大別されます。

 【絶対評価】
絶対評価とは、「満点の70%以上」というように絶対的な合格基準が設けられている試験のことです。この様な試験は以下の様な特徴を有しています。

・合格者数が決めっている訳ではないので、合格率は毎回変動します。

・試験要領などに明確に「合格基準は満点の○○%以上とった者」のように明記されていることが多いです。

・要するに求められている水準をクリアできれば合格できる。

・例)日商の検定(簿記・ビジネス実務法務・カラーコーディネーターなど)、情報処理技術者

 絶対基準というのは、○○点以上で必ず合格する試験のことを言います。100点満点のうち70点以上で合格(あるいは100%中、70%以上で合格)というような基準が設けられ、70点(70%)が絶対値として設定されます。この採点方式は、国家資格よりも公的資格や検定などに多いパターンです。ちなみに日商簿記3級の受験者数、合格者数、合格率です。

日商簿記3級合格率推移 受験者数合格者数合格率
第109回 受験者数70,262 合格者数22,355 合格率31.8%
第110回 受験者数79,825 合格者数46,520 合格率58.3%
第111回 受験者数89,482 合格者数19,574 合格率21.9%
第112回 受験者数80,570 合格者数37,407 合格率46.4%
第113回 受験者数78,640 合格者数27,529 合格率35.0%
第114回 受験者数93,890 合格者数42,428 合格率45.2%
第115回 受験者数74,059 合格者数26,083 合格率35.2%
第116回 受験者数85,872 合格者数36,501 合格率42.5%
第117回 受験者数95,895 合格者数29,934 合格率31.2%
第118回 受験者数83,112 合格者数31,749 合格率38.2%

 この様に合格者数も合格率もマチマチであることが分かります。

【相対評価】
 逆のパターンが相対評価と言われる試験です。これは
・「全受験者の上位○%」が合格となる。
 という試験です。
 世の中で難しいとされる司法書士試験は合格率が3%程度と言われており、その代表例です。
 
 シニアから資格を取得しようとする場合、勉強から遠ざかっている方も多いと思います。まずは合格者枠がある程度決まっている絶対試験の方がハードルが下がって良いでしょう。

・役立つ資格の見極め方

 老後の生活を考えた入り、これまで培ってきたキャリアに鑑みて、資格を取得しようとされる方も多いかと思います。
資格を取得するという発想は間違いではありませんが、資格なら何でも良いというわけではありません。今や日本で取得できる資格の数は、国家資格だけでも1,200種類、民間資格も合わせると3,000種類以上あるといわれています。

 せっかく、資格試験合格のために時間とお金をかけたのに、結局、収入には繋がらなかったという方も多いかと思います。
そのためにもチャレンジする資格を吟味する必要があります。まずは、資格と言っても実施主体がどこかで見極める方法があります。
 
【国家資格】
文字通り国が認定する資格。国または国から委託された団体が行う試験に合格すると、国から資格を認定されます。国家資格保有者にしか担当できない業務もあり、ニーズも社会的信用も高い資格が多いのが特徴です。ただし、それだけに難易度も高く資格取得までの期間も長期間になるので、本気で取得を目指すなら中長期の計画と1日も早く準備を始める必要があります。

(例)税理士、行政書士、宅地建物取引士、キャリアコンサルタント、社会保険労務士など

【公的資格】
公的資格とは、民間団体や公益法人が試験を実施し、合格者を官庁や大臣が認定する資格です。信用度や知名度が高く、就職、転職の際に役立つ資格が多くあります。

(例)日商簿記検定、秘書検定、介護支援専門員(ケアマネージャー)、ビル経営管理士など

【民間資格】
民間企業や民間団体が独自に実施している資格や検定のことを指します。民間資格には原則として法的な規制などはないことから、その内容や難易度は千差万別。社会的信用度や需要にも、大きな差があります。

(例)TOEIC、アロマテラピー検定、ファイナンシャルプランナー、証券アナリスト、臨床心理士など

では具体的にどんな資格が良いのでしょうか?今回はシニア世代が取り組みやすい国家資格、公的資格を5つ、ご紹介したいと思います。

60代から取得したい資格その1・ファイナンシャルプランナー【民間資格】

 ファイナンシャルプランナー(FP)は、税金・保険・年金などの幅広い知識と視野を持ち、ライフプランの設計を行うお金の専門家です。

有資格者は金融・保険・不動産など、さまざまな業界で求められるため、就・転職が有利に!独立・開業も可能なほか、身につけた知識は日常生活でも役立ちます。

60代から取得したい資格その2・マンション管理士【国家資格】

 マンション数が650万戸を超え、いまや約10人に1人が分譲マンション住まいという時代。修繕や建て替え、災害対策など、多様化する問題を解決するプロとして求められているのが「マンション管理士」です。

マンションの管理組合やマンションの所有者から相談を受け、それに対してアドバイスをするのがマンション管理士です。いわばマンション管理のコンサルタントといえるでしょう。

60代から取得したい資格その3・宅建士【国家資格】

 宅建士とは、不動産の売買や賃借において活躍するための資格です。

宅建士の試験合格率は15%〜17%で、誰でも簡単に合格できるほど簡単な資格ではありません。けれども、50満点中70%以上の正答率で合格になるので、頑張れば取れる資格です。定年になる前にしっかりと勉強して資格を取得しておきましょう。
また最近では不動産取得で外国人の方の取得が増えています。
そこで、外国語に流ちょうな方が歓迎されています。
語学力に自信がある人で不動産関連業界への再就職に興味がある人は、語学力+宅建士の資格の持ち主として自分のスキルをアピールできるでしょう。

60代から取得したい資格その4・建築物環境衛生管理技術者(ビル管理技術者)【国家資格】

建築物環境衛生管理技術者の仕事は、専任する大規模な建築物のビルメンテナンスの統括を行うことです。
不特定多数の人が利用する施設では、利用する人々の安全を守るために、日々の清掃、害虫(害獣)駆除、水質の検査、空調の検査、電気設備や消防設備の定期点検、衛生設備の定期点検と清掃を行う必要があります。
建築物環境衛生管理技術者は、これらの必要な時期を見極め、下請け業者を手配し、打ち合わせや契約等の手続きを行います。 
この他にも、建物内のテナントとの打ち合わせや交渉、クレーム処理、専任する大規模な建築物と周辺の自治体との間に入り、円滑に建物の運営が行えるようにする働きかけ等も行うことになるでしょう。
建築物環境衛生管理技術者の資格取得者が行う仕事は、ビルメンテナンスのスペシャリストと言える仕事となります。

60代から取得したい資格その5・海事代理士【国家資格】

 最後にご紹介するのが海事代理士です。

 聞きなれない資格ですが、海事代理士とは、海の行政書士、海の司法書士ともいわれており、例えば、船舶の登録や船舶免許の取得といった業務で必要になります。
 この資格の特筆すべきは、受験者数の少なさと合格者の多さでしょう。
 2020年の実績で志願者が288名、うち合格者が124名という極端に少ない志願者に加え、合格率が40%を超える資格です。
 これは海が閉鎖的な業界で、なかなか業務が広がりにくいのと単独というよりかは行政書士や司法書士とのダブルライセンスで活躍する方が多いことに起因しているといえるでしょう。
 しかし、海という閉鎖的な業務を独占的にお応えできる稀有な資格ですので、挑戦してみてはいかがでしょうか?

・資格を取得するタイミング

 資格を取得するタイミングは何も定年退職後である必要はありません。勤務中に福利厚生の一環として資格取得に補助が出る企業もあるかもしれません。
 また多くの資格は巷の参考書で自学による勉強で、合格できることもありますが、海事代理士の様に巷に参考書が全くない試験もあります。
 その様な場合、資格取得のための学校に通うことも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

(文責:定年生活編集部)
この記事は2022年8月6日に「定年退職後の資格取得 5選」で公開した記事を加筆、修正したものです。