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春の都路 その1(京都・宇治~奈良・斑鳩)

2012/4/6 

⇒春の都路 その2(京都・新選組の旅)へ

シニア|宇治川

■源氏物語の舞台をたずねて

京都の南、京都駅から電車で25分ほどの宇治市はお茶の名産地であると同時に源氏物語の最終章「宇治十帖」の舞台として知られ、実際に平安時代には既に貴族の別荘地でした。

初めて見る宇治川は上流にダムがあるものの、その豊富な水量と急な流れに驚きました。岸のきわまで深く速いこの川は、「宇治川の先陣争い」をはじめ歴史の舞台に何度も登場します。源氏物語では恋に悩みぬいた浮舟が入水する川です。

川の西側には10円玉でおなじみの平等院(鳳凰堂)があり、東側は宇治上神社や源氏物語ミュージアムに続く「さわらびの道」が通っており、川のまぢかまで枝を広げるうっそうとした古木はいにしえの雰囲気がたっぷりです。

平成10年に開館したという市営の源氏物語ミュージアムは源氏物語好きにはたまらないでしょう。展示はもちろん、上映された「橋姫」というミニシネマもよくできていて、ミュージアムの趣旨が、来訪者に源氏物語をもう一度読んでみようかなと思わせることだとすれば、もう満点以上の施設です。
シニア|生茶ゼリィ
源氏物語を少しも知らないという人には・・・ちょっと退屈だったかもしれませんが、気を取り直して駅近くの中村藤吉本店に寄ってください。ここの生茶ゼリィを食べたらもう宇治のことを忘れられなくなるでしょう。餡やアイスクリーム、白玉と一緒に竹の筒で供されるゼリィは濃厚で絶品! 見た目以上のボリュームなので、おふたりで行く場合は、ひとりが生茶ゼリィを、もうひとりが別のメニュー(わらび餅がおすすめ)をたのんでお互いに半分ずついただくのが良いでしょう。

適度な散策と本格的な抹茶を楽しむことのできる宇治は、半日の観光にぴったりです。

■斑鳩の里

斑鳩(いかるが)という語音には、どこかしらエキゾチックで不思議な響きを感じますね。
今回、京都に宿をとり宇治を経て奈良・斑鳩にやってきて感じたのは、意外に遠いということでした。

パック旅行で組み込まれているのならいざ知らず、個人旅行で訪れる場合は奈良駅で電車を乗換え、バスも使って京都から何だかんだで1時間40分。
中学の修学旅行以来、何十年ぶりに法隆寺を訪れました。
定年後の生活|法隆寺
中学生のときの旅行は、もちろん大型バスで法隆寺駐車場まで運ばれたのでまったくその地理感がつかめませんでした。法隆寺の塔もあちこちの塔とごっちゃになってうろ覚えなほどでしたから、斑鳩町というのが奈良県のどのあたりか、ということなどさっぱりわかっていませんでした。

法隆寺観光はもっぱらバスで来る人が多いからでしょうか、JR法隆寺駅はびっくりするほど小さな、鄙びた駅です。駅と法隆寺を運行するのもこぢんまりしたワンマンバス。宅地と田園や畑が点在するむこうには低い山がなだらかに流れています。斑鳩は京の都とはちがう、のどかで自然に包まれた「上古の大和」の空気を漂わせています。

■聖霊会(しょうりょうえ)

現存する世界最古の木造建築として有名なこのお寺は、聖徳太子が建立した寺といわれていますが、実際には議論が分かれています。長じてから梅原猛さんの「隠された十字架」を読んで以来、法隆寺の謎に古代ロマンを感じ、もう一度ゆっくり法隆寺を訪れてみたいものだとかねがね思っていたのです。

法隆寺創建の意図はどうあれ、このお寺が太子ゆかりのお寺であることにまちがいはなく、毎年この時期には「聖霊会」と呼ばれる法要が三日間営まれます。太子の命日にその遺功をたたえ、霊を祀る祭礼です。10年に一度の大会式とよばれる法要ではお練(行列)や舞楽が行われますが今年は通常の小会式です。

夢殿(八角堂)の前から東大門につづく参道には縁日にふさわしくとりどりの屋台がたち、地元の小学生らで賑わっていました。会がおこなわれる鏡池まえの聖霊院は五色の幔幕で飾られ幡が立ち、人の波。
ひと目太子の像を見ようと中に入ったものの、高い祭壇と人垣で残念ながら像を拝することはできませんでしたが、末香のかおりと雅楽の音色が響く堂の内陣は、ざわめきの中にも荘厳な雰囲気が満ちていました。
聖霊会|シニア
不思議なことに、ふだんどれほどの信仰心も持たない私も、お寺に行って仏像を前に手を合わせると自然に祈りが浮かびます。ごく身近な家族や友人、同僚のこと。そして震災や病気などで辛い思いをしている見ず知らずの多くの人々のこと。誰に、どうしてくれとすがるのでもなく、癒しを求めるのでもなく、ただただ思いが届くようにと祈るのです。

帰りのバスに揺られながら、遠くに見える五重の塔の九輪が天にむかって潔いほどに貫かれているのを見ると、その思いはきっと届くと確信したのでした。

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