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日米安保体制と憲法9条は矛盾するのか?

2020/5/4 

2015年に成立した平和安全法制(正確には、平和安全法制整備法案(我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案)・国際平和支援法案(国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案)が成立した。

 この法整備は、これまでは出来ないとされてきた集団的自衛権の部分的な行使を可能にするものであった。その目的は政府の説明によれば、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して実施する合衆国軍隊等に対する後方支援活動等、国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務その他の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する措置について定める必要」があるとしている。要するに日本の同盟国(アメリカを念頭に置いているのはあきらか)に対し、自衛隊が

 今回はこうした問題を見る前にその一歩の手前として、日米安保体制と憲法9条との関係についての議論の変遷を見ていきたい。

旧日米安保体制の特色

 1952年、日本は、アメリカ合衆国との間で安保条約が締結された。最も大きな特徴は軍事基地提供条約であったことだ。
①極東における国際の平和と安全の維持に寄与すること
②一または二以上の外国の国による教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱および騒擾(じょう)を鎮圧すること
③外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与すること

 という3つの目的を持っていた。が、②に代表されるように、その内容は日本の安全を保護する一方的な内容であったといえる。
 その後、日本では自衛隊の発足や防衛力の増強といった国内の新しい事態に直面し、アメリカとの間で従来の基地提供条約から相互援助条約としての性格へと改定されることになった。

新安保条約の特色と問題点

 新安保条約は双務的な内容に改定差r多といわれる。しかし2つの留保がある。第5条において「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」と限定をしている。つまりアメリカ国内に対する攻撃に日本の自衛隊が出動することはない。その意味で変則的である。
 第二に、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動する」と定めている。要するに安保条約といえども憲法9条の規律する範囲内でしか行動できないというのである。政府はこの条文をもって安保条約は合憲であるという見解をとる。

 しかし以下の3点が問題とされた。

一つ目は、安保条約で言う極東の範囲がアメリカの軍事戦略によって如何様にも拡張されないかという指摘である。これは地理的限界であり、まさに今も多くの論点が残っている。
二つ目は、在日米軍基地が他国により攻撃された場合、日本への攻撃とみなし日本の個別的自衛権で対処できるのかという問題である。
三つめはそもそも在日米軍は憲法9条の「戦力」にあたり、違憲ではないのか?という問題である。

 政府は、従来より安保条約の相互防衛は集団的自衛権の問題ではなく、あくまで個別的自衛権の問題、すなわち日本に対する武力攻撃に対する防衛行為と説いている。

在日米軍は憲法9条に違反する?

 これは違憲説もあるが、最高裁判所はいわゆる砂川事件で憲法9条にいう「戦力」とは、「我が国が主体となって指揮権、管理権を行使する戦力」を指すのであって外国の軍隊はたとえ、我が国の軍隊であっても憲法が禁止する戦力には該当しないという立場をとった。

 この他にも合憲説をとる学説として、「準国連軍説」というのもある。これは安保条約に基づく在日米軍を「実質的に国連軍の中核をなす、あるいはそれに準ずる軍隊」と考え、憲法9条の枠外と考える立場である。憲法は国際連合による日本の安全保障を認めているので、その方式の完成に至るまでの過渡的措置(芦部信喜『憲法学Ⅰ 憲法総論』293頁)と捉える。

 この様に在日米軍は憲法9条に違反しないという理論的な整合性の努力がとられてきた。しかし、日本を取り巻く安全保障環境の変化に伴い、日米安保条約の役割は大きくい変化していく。それがイラク戦争におけるイラク特措法と、集団的自衛権の問題であった。

(文責:定年生活編集部)
参考文献:本文中に引用のもの



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