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認知症はどのような病気なのか?

2015/6/1 

認知症を発症していたと、有名な声優さんの家族が公表しました。
その公表を受け、認知症に対する社会の関心が改めて高まっています。
関心が高まると同時に、認知症という病気がまだ十分に理解されていない実態も、浮き彫りにされたようです。

「認知症」 とは、どのような病気なのでしょうか?
また、認知症に罹っている人はどのくらいいるのでしょうか?
高齢化の波が押し寄せている今日、けっして他人事とは言えない認知症。
病気の定義と有病率をまとめてみました。

【認知症は脳の病気】

「歳をとったら、誰でも呆ける」

という人もいます。

確かに若い頃よりも物忘れが多くなることはあるでしょう。
新しい物事を学習する能力も低下するかもしれません。
しかし、こうした現象は、正常な老化現象です。
認知症ではありません。

認知症は、いったん正常に発達した脳が、いろいろな原因で働きが悪くなり、認知機能に障害が起こって日常生活に支障をきたすようになる状態を言います。
高齢者に多く見られる状態ですが、単なる物忘れとは違います。
脳の病気です。

WHO(世界保健機関)が作成する

「ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン」

では、認知症を次のように定義しています。

「脳疾患による症候群であり、通常は慢性あるいは進行性で、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む多数の高次皮質機能障害を示す。意識の混濁はない。認知障害は、通常、情動の統制、社会行動あるいは動機づけの低下をともなうが、場合によってはそれが先行することもある」

「見当識」 とは、自分を取り巻く状況が理解されていることです。
今日が何年何月何日で、ここはどこか、相手は自分とどのような関係の人なのかといったことが分かっていることを言います。
認知症を患うと、自分を取り巻く状況が分からなくなります。

WHOの定義を整理しましょう。
認知症は脳の病気です。
ただし、意識ははっきりしています。
症状のうち、中核となるのは、記憶障害と認知機能障害です。
そして、記憶障害と認知機能障害が、日常生活に支障をきたすほどの状態になっているというものです。

【認知症の有病率は平均15.7%】

認知症は脳の病気です。病気なので、罹る人もいれば罹らない人もいます。
では、実際に認知症に罹っている人は、どのくらいいるのでしょうか?

病気に罹る割合を有病率と言います。
有病率を調べるため、2009年から2010年にかけて日本国内6か所で実施された調査があります。

新潟県上越市、茨城県利根町、愛知県大府市、島根県海士町、大分県杵築市、佐賀県伊万里市で調査した結果によると、65歳以上の人の認知症の有病率は平均15.7%でした。
この数値は、過去に行われた同様の調査結果と比べて高い傾向にあると考えられています。
有病率が高くなっている理由としては、高齢化率の上昇が影響しているとされています。

【痴呆から認知症へ】

「認知症」 という言葉は、比較的新しいものです。
2003年までは「痴呆」 と言われてきました。
しかし、「痴呆」 という言葉には侮蔑的な響きがあるという声を受け、厚生労働省が検討会を開き、2004年に「認知症」 という名称に変更されました。
変更された当初は行政用語として使われていましたが、現在では医学の分野でも使用されるようになっています。

ある程度の年配の芸能人が少々不可解な発言や行動をすると、ネットではすぐに「認知症では!?」 と噂されるようですが、「認知症」 という名称に変更された経緯を考えた時、認知症に対して差別的な感情を抱くことは厳に慎みたいものです。