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認知症によくある症状~入浴を嫌がる~

2015/7/11 

認知症を発症すると、それまでは当たり前にできていたことが次第にできなくなっていきます。

「できないのだから仕方ない」

と家族は介護しますが、時に 「嫌!」 と介護を拒否することが出てきます。

しかも、もっともらしい理由をつけて拒否するので、介護する側にとって心理的な負担が増えることもあります。
そのような介護拒否が生じやすいのが入浴です。

【やや高度認知症になると現れやすい入浴拒否】

認知症の症状の進行段階は4つに分けて考えられています。
軽度、中等度、やや高度、高度の4段階です。
入浴拒否が生じやすいのは、認知症の症状がやや高度に進んだときです。

軽度認知症の段階では、まだ自分で入浴ができます。
季節に合った服を自分で選んで着ることもできるため、身だしなみという点で、認知症を疑わせる様子は見られません。
その日の気温に合った服を自分で選ぶことができなくなる中等度認知症になると、入浴を忘れることが出てきます。

しかし、促せば入浴します。

やや高度認知症に進行すると、入浴を嫌がります。

「まだどこも汚れていない。」
「毎日髪を洗うと薄毛になる。」

などと理由をつけて嫌がることもあります。

周囲が入浴を促すと、「嫌!」 と怒ることもあります。
服を脱がせようと家族や福祉施設の職員が手を出そうとすると、その手を激しく振り払うこともあります。

施設に入居している場合は、施設から家族に苦情が寄せられることもあります。

「石鹸やシャンプーが本人の好んでいるものと違うのではないか?」

と買い直しをさせられる家族もいます。
しかし、仮に本人がそのような理由をつけていても、石鹸やシャンプーが原因で入浴を拒むということはありません。

【服を盗られるかもしれないという不安】

認知症の症状がやや高度にまで進行すると、本人は自分を取り巻く状況がかなり分からなくなっています。

やや高度認知症では、寝巻きの上に普段着を重ねて着たり、トイレの水を流せなくなっていたりします。
便意が分からなくなって失禁するようにもなっています。

日常生活に立ちふさがる困難。さまざまな場面で困ります。
漠然とした不安をいつも感じるようになります。
そのような不安の中で被害者意識も深く根付いていきます。
周囲の人の感情に敏感になり、言われたこと自体は理解できなくても、言葉を口にした人間の感情だけはしっかりと受け止めます。

介護者が入浴させようとムキになってしまうと、

「何をするつもりなのだろう??」

と不安を募らせます。
服を脱ぐように促されると、不安は恐怖心に変わります。

「服を盗るつもりなのではないか!?」

と警戒します。

ただし、直接その不安を口にすることはまずありません。
認知症介護の難しさは、このようなところにあります。
介護者の思惑とすれ違う患者の考え。
患者が口にすることと本心との食い違い。
入浴拒否は、認知症介護の難しさの象徴です。

【ヘルパーに頼むと意外と素直に入浴することも】

認知症の症状は、身近な人に対して最も激しく現れるという一種の原則があります。
心を許しているだけに自分の思いを通そうとすると言えるかもしれません。
本人は、けっして介護者を困らせようとしているわけではありませんが、激しい症状に常にさらされていると、家族も疲弊します。認知症を患っている本人にゆったりとした気持ちで接することができなくなります。

デイサービスや入浴介助だけしてくれる訪問介護を利用してみるのも、一つの手です。介護者が他人だと、意外と素直に入浴してくれることがあります。

介護を家族が抱え込んでしまわない工夫も大切です。