遺言の準備

2012/5/14  太田胃散 さん

相続財産「なあ、俺の遺言状を書こうと思ってるんだが」と家内に話しかけたら、一体何事なのかと問い詰められた。

それはそうだろう。私もこれまで、自分が遺言状を書くなどということは全く考えていなかった。だが、つい先日、「遺言状を書かなければ」と思わせる事例が、身近にあったのだ。

実は先日、私の会社員時代の同僚が癌で亡くなった。定年後の生活をこれから満喫するぞ、と思った矢先に癌が見つかったらしい。老後を共に歩むはずの相手を亡くした奥さんの落ち込みぶりは、周りから見ても痛々しいほどだった。

ところで、元同僚夫婦には、私たち夫婦と同様に、子供がいない。このケースの場合、遺産相続問題が起きやすいということを、元同僚の葬儀の場で知ったのだ。「あの奥さん、家は手放せないだろうから、貯金はほとんど全部兄弟に持っていかれるだろうね」と。

何のことかと思っていたが、帰って調べてみると、子供がいない夫婦の場合、配偶者がすべてを相続できるわけではなく、四分の一は、兄弟の相続分となるとのことだった。

元同僚には、二人の兄弟がいた。
そして私には、妹が一人いる。

つまり、もし、私に今何かあったとしたら、家内に全財産は行かず、四分の一は妹に行く、という形になるわけだ。

普通に考えれば妹に遺産が多少行ってもいいか、と思えるのだが、恥ずかしながらこの妹は浪費癖が激しく、借金を繰り返しては身内に金をせびってくる、といった状態で、私たち夫婦も非常に迷惑ばかりをかけられてきた。度重なる無心に堪忍袋の緒が切れて数年前に絶縁を言い渡した、そんな妹に遺産を渡すのは、金をドブに捨てるようなものである。

だから遺言状を書いて、妻に全財産を相続させたいと思ったのだ。

遺言を書く理由を妻に問い詰められて、このことを説明したらようやく納得してくれた。そして妻も、「大した金額じゃないけれど」と言いながら、私にすべてを相続させる内容の遺言状を書こう、と言ってくれた。

遺言状を書く、と言っても、私たちは当たり前だが夫婦揃って遺言の素人だ。下手に自分で書いて形式を間違えて、無効の遺言状を作ってしまっては元も子もない。安全性の高い、公正証書遺言にしようということで話は決まった。

今回、たまたま相続について見直すきっかけがあったからこそ、私たちはこういう対処を取ることができるのだが、「子供がいない夫婦の場合、配偶者がすべてを相続できるわけではない」という事実を知っている人がどれだけ居るのだろう。予想もしていなかった遺産相続問題が起きる、というのは、伴侶を失った者にとってダメージの追い討ちをかけるようなものであると思う。

いくら元気なつもりでも、私たちが今歩んでいる人生は「老後」だ。やはり、いつ何があるか分からない、というリスクは現役時代よりも高い。だからこそ老後人生を歩んでいる人は、自分の意思に沿った遺言状を用意しておくことを、検討すべきではないだろうかと思う。

(※)兄弟姉妹は法定相続人ですが、他の法定相続人と違って遺留分の権利がありませんので、親も子供もいなければ遺言により妻に全てを相続させることが可能になります。

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