土蔵の移築
2012/6/5 道子 さん
先日、めずらしい光景を見ましたので写真に収めました。
家の移動(移築)です。
新しい道路を通すために土地が買収され、そこに住んでいた方たちが移転することはそれほどめずらしいことではありませんが、多くの場合代替地に新しい家を建てることがほとんどで、今ある家をそのまま移動させることは稀です。
木造住宅の寿命は40年くらいというのが通説ですし、収用の場合は補償が出るので建て替えるのに経済的な心配はありません。区画整理による移転などよりも市道・国道のための用地買収のほうが補償額は多く、万が一そういうことにでもなれば、宝くじが当たったのと同じほどのラッキー度かもしれません。さて、写真に撮ったのは普通の建物ではありません。
田舎では時おり見られる土蔵、いってみれば「蔵」です。
壁を単に海鼠壁(なまこかべ)風にした「なんちゃって土蔵」ではなく、正真正銘の蔵です。
このような蔵のある家は近くに数軒あります。いずれも姓が同じため、少しさかのぼれば地主の一党だったのだろうと思います。
それらはどのお宅も、屋根付の塀に囲まれ、大きくなだらかな切妻屋根をもつ家で、かつての地主の風情をいまも漂わせています。
犬の散歩がてら、畑を耕すおじいさん(蔵の持ち主)に「この中には何がはいってるんですか」と聞いたことがあります。
虫干しでもしているのか、ちょうど蔵の扉が開かれていたのです。残念ながら中は見えませんでしたが・・・。
おじいさんはタオルをかけた首を振りながら、「なぁんにもいいもんは入っとらんよ」と笑っていましたが、なんでも鑑定団に出してもよさそうなお宝が密かに眠っているのではないかと勘ぐってしまいました。昨年の東北地震の時に、津波にすべてがさらわれたあとポツンと土蔵ひとつが残ったという記事を読みましたが、やはり蔵の耐久性は相当なものです。先人の知恵と技、蔵の威厳が証明されたといえるでしょう。
田んぼや畑がたやすくつぶされてマンションや駐車場になってしまう昨今ですが、こうやって土蔵が新たな土地に引っ越していく姿を見ると嬉しくなります。
持ち主もよく諦めずに移築したよねと家人に言うと、「移転のほうが(新築よりも)補償が安く済むんじゃないの?」
うーん、なるほど・・・。
ちがう場所に新しく蔵を建てるといったらすごく費用がかかるのでしょうね。費用だけではなく、今の時代、蔵を最初から建てることのできる技術者もなかなか見つからないのかもしれません。湿潤な気候の日本では木造建築はいたみやすく、一部を除き短いサイクルで建て替えられてきましたが、そんな中、土蔵は土(石)の建物として永く残ってきました。
夏は涼しく冬は暖かい、蔵。
取り壊さずに知恵の財産として残っていくことを望みます。それにしても、お蔵の中は何が入っているのか気になるところです。
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