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屈辱感は悪か

2012/9/19  悪平等はマイナス さん

定年後の生活|孫の運動会
運動会の季節になってきました。近くの小学校のグランドでは、子どもたちがいろんな隊形に開いたり閉じたりまわったり、頑張って練習をしている姿が見られます。
自分もあんなときがあったナと懐かしく思いながら散歩がてら見ています。

今は運動会用の「早く走る靴」がある時代ですが、私が小学生のころは運動会といえば裸足でした。それなりのグランド作りも日課で、毎朝全校体育で小石拾いをやりました。全校800人規模の学校だったので、人波作戦で一列に並んで数回ダーッと拾えば、かなりきれいになるのです。トラックぎわはふるいにかけるほどの念の入れようだったので、裸足でも全然痛くありません。それに練習始めのころに感じる足の裏の違和感も、皮が厚くなるにつれすっかり慣れるのです。そう、少しの期間でも人間の体はちゃんと進化するのです。

私は、駆け足は遅いほうではありませんでしたが、六年生の徒競走では速い組に入れられ、どんなに頑張っても自分以外のメンバーの背中を追うことしかできませんでした。
もうひとつ遅い組に入ればトップを争ったかもわかりませんが、それは仕方がありません。

家の近くの小学校は全校1000人という大規模校ですが、全学年かけっこをやります。まるで流れ作業のように進む競技ですが、軽快な音楽に合わせて子どもたちが懸命に走るのは見ていてとても気持ちが良いものです。
体の構造はまるっきり同じ人間で、ほぼ同じ年月を生きているというのに、どうしてあんなに足の速い遅いが出てくるんでしょうね。まさしく偉大な個体差です。

速い子は、誰に教わったのでもなく腕の振りがよく、足の回転も速い。自然とフォームも美しく、カモシカのようにしなやかに走ります。いっぽう、遅い子は、本気で走ってんのかな、というほど手足の動きがスローでリズムも悪く、あたりまえですがなかなか前に進みません。
それでも、先生や級友たちの声を受けながらコーナーをまわり、ゴールを目指します。途中で競争を放棄する生徒はいません。
最近では順位付けは子どもの自信を喪失させるとかで、クラス対抗で全員がリレー式に走るなどのばかげた学校もあるようですが、大勢が見つめる中、一番最後に走る屈辱感はそんなに悪なんでしょうか?
それは得がたい経験であると「ビリ」を経験したことのある私は自信をもって言います。

一歩社会に出たら、過酷な競争にいやおうなく巻き込まれます。そんなときに、「世の中平等のはずじゃないの?」なんて叫んでもだれも相手にしてくれません。
一番になったときも偉ぶることなく、ビリになったときも卑屈にならずくじけない気持ちを養って欲しいと思います。
六年生のときの運動会、悲しかったナ。
それでも、あの時の屈辱感はやはりその後の自分の成長の糧になったとしみじみ思います。

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