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一生ものを少しずつ

2012/10/4  ささやかな贅沢 さん

定年後の生活
定年退職後の生活というのは、基本的には「一生の中で、夫婦がともに過ごす時間がもっとも長い状態」だと思います。
我が家は幸い夫婦仲がいいので、いわゆる「濡れ落ち葉」などといった言葉は無縁ですが、どうせ2人でゆっくりとした老後を過ごすのなら、一緒に居る空間そのものをもっと快適にしてみよう、と考えました。

そこで始めたのが、「年金が入るたびに雑貨や食器などを、ひとつずつ、あるいはひと組ずつ、職人手作りの「一生ものの逸品」に替えていく、ということです。我が家にはたくさんの物がありますが、どれもこれも安物ばかり。せっかく家に長時間いるというのに、安物ばかりに囲まれた生活をするのはちょっとわびしい気がしてきたのです。

年金からさらに貯金をしようと欲張りさえしなければ、数万円程度の剰余は出るので、その年金の剰余分で「一生ものを買って、毎回使いきっていこう」と思ったのです。いざという時の貯金はこれまでの積み立てと退職金があれば何とかなりそうなので、そこからさらに年金で貯める必要もないのでは、と考えました。

「一生もの」の購入は、まずは夫婦茶碗や湯呑みなどの食器類から始まりました。そのうち、小物入れや小さな棚や花瓶など、雑貨類なども買うようになってきたのです。

これまで使っていた大量生産・外国産のものについても、実用には十分役立ちましたし、何より安価だったので家計的にも助けられましたが、やはりこうして職人手作りの一生ものを揃え始めると「実用的なだけのものでは物足りない、やはりこうしてひとつひとつに魂がこもっているものがいい」と思えるようになりました。

気の持ちようだとは思いますが、これまでと同じお茶を入れても、職人手作りの急須と湯呑みを使うと、味がひときわ引き立つような気がするのです。

今回購入した「一生もの」はチリトリでした。素材はトタンという、昔ながらの素朴なものですが、とても丁寧な作りとなっており、地面とチリトリの段差のホコリの溜まりが気になる、というようなこともほとんどありません。それまで使っていたプラスチックのチリトリも悪くなかったのですが、満足度は段違いです。

チリトリを替えただけでかなり掃除が快適になってきたので、次の「一生もの購入」はホウキにしようかと考えています。もちろんホウキは消耗品ですので、たとえ職人の品でも、一生ものにはならないかもしれませんが。

この「一生もの購入」を始めてから3年。我が家はまだまだ職人の品より大量生産品が目立つ状態ですが、いずれは「いいものだけに囲まれる」という生活を実現したいです。いいものを使うと、それだけで心の余裕ができるということを知ってからは、「一生もの」の価格が高いとは思わなくなりました。共働きで会社員時代はあくせくしていただけに、老後はゆったりとやさしい時間を過ごしたいと考えていますので、その目的のためには、なかなかいい方法ではないかなと、夫とともに自画自賛しています(笑)

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