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迷子のおばあちゃん

2013/2/5  あるじゃーのん さん

シニア|認知症
ある寒い日の朝のこと。
車のフロントガラスについた霜を取るために、お湯の入ったやかんを持って自宅前の駐車場に行きました。
ちょうどその日はゴミ収集日で、駐車場に接する道はゴミを出す人の往来がありました。ですから、私がそのおばあちゃんに声をかけられたときは、ゴミ出しの帰りかと思ったのです。

私が車のガラスにお湯をかけていると80歳以上と思われるおばあちゃんが、じっとこちらを見ているので、おはようございます、と声をかけたところおもむろに話を始めました。
「ちょっと困っているんだけど」
私は出したいゴミがあるのだけれど、重くて(大きくて)出せないから手伝って欲しいのかな、と思いました。

「xxx(聞いたことのない地名)に行きたいの。送っていってもらえんかの?」
ちょっと驚いたのですが無下に断るわけにもいかず、まずはxxxがどこなのかを尋ねました。
「え?知らないの?○○のxxxさ」
それは車で30分ほどの隣村の地名のようでした。

どうして行きたいのか理由はわかりません。緊急を要するのなら何とかしないといけないのかなと思いつつ、おばあさんの服装が気になりました。
セーターとズボンをはいているのですが、この寒さだというのに上着をはおっておらず、マフラーや帽子もかぶっていません。部屋からそのまま出てきたような服装です。
「すみません、これから仕事に行かなきゃいけないんですけど、タクシー呼びましょうか」
「おや、忙しいところ悪かったね、申し訳ない」

そう言ってスタスタ歩いていってしまいました。
会話は成り立っていましたが、服装が気になったので出勤の準備を整えて、車で追いかけました。
おばあちゃんは200メートルほど先を歩いていました。
「おばあちゃんのお家、どこ?」
「△△」(さっきとは違う、聞いたことのない地名)
さて、ここからが困ったのです。

認知症と思われるお年寄りをどうすればよいのか。
もしかして近くを家族が探しているかもしれず、いきなり警察に連れて行ってよいものかどうか。
しかも出勤時間が迫っており、焦るのなんの。

ひとまずおばあさんをそのままにし、おばあさんが来た道を車で遡りました。
ゴミ収集場近くで、人を探しているような50代とおぼしきご夫婦を見かけたので声をかけました。
「もしかしておばあさんを探しています?」
案の定、ご家族でした。

あわててそのご夫婦を車に乗せ、おばあさんが歩いていたほうへ戻りましたが、今度はおばあさんの姿が見えません。
わずか数分のことだったのでそれほど遠くに行ってないはず。
このあたりだとわかればあとは自分たちで探します、とご家族がいうのでそのままにして出勤してしまいました。

あのとき、おばあさんを乗せて道を引き返せばよかったのかナ、それともすぐに警察に連れて行けばよかったかナ、などと考えました。
そのあと地域の広報が流れなかったので無事保護されたのだろうと思いますが、初めて「迷子のご老人」に出会って考えさせられました。

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