過激な終活

2013/4/2  理香子 さん

定年後の生活|終活
先日テレビを見ていたら、ある葬祭業者が終活サポート講座の一環として、自分の「模擬葬」を体験できるというイベントについて報道されていました。
なんと、棺おけに入った女性がニコニコして映っていましたが、私はこれを見て違和感を覚えました。

だって、棺おけに入ってみたところで、本番のあなたもう死んでしまっているでしょう?
「(棺おけの)中は思ったよりずっとゆったりしていて、悪くないですよ」
ここまでする必要ってあるんでしょうか・・・・・・。

少し前までは、お墓の心配をしたり、遺影の写真を選ぶ程度のことはやっても、それ以上のことはほとんどタブーでした。つまり死を想定することは「縁起が悪い」以外なにものでもありませんでした。
その反作用としてか、生きているうちに葬式をしてしまうという「生前葬」が出現しましたが、やはり抵抗が強く根付いていません。

その折衷のような形で本人の生きているうちに、葬式をはじめ自分の人生の幕引きをしっかり準備しようと始まったのが「終活」でしょう。
相当な資産家や、戸籍上モメそうな家族・縁者関係があればすっきりさせておく必要がありますし、自分名義の保険・預貯金などを配偶者や子どもに知らせておくのは終活として有意義だと思います。

それでも、葬儀で流して欲しい音楽や飾って欲しい花ぐらいは決めるとしても、棺おけに入るというのはどうなんでしょう?
棺おけに入ると死んだ人の気持ちがわかるとでもいうのでしょうか?

それは元気な人、終活といいながらもまだ「自分は死なない」と思っている人たちが提供する商売としてのサービスです。
それを真に受けるお年寄りは本当に切実なんでしょうか。
私は死を恐れない、という強気のポーズでしょうか。

だって本当に死期が近づいている人たちがあのような催しに参加すると思いますか?
それこそあと数ヵ月後には自分はこの世にいないかもしれない、と身につまされている人々があれを見てどうおもうか、葬祭業者は考えないのでしょうか?

いまだかつて、死ななかった人はいません。
宇宙にまで出かけていくことが可能になった人類なのに、どんなに科学的な手立てでもってしても死後の世界を垣間見ることさえできません。
終活という名のもと、いきすぎたサービスに嫌悪を感じるのは私だけでしょうか。

職場の先輩(50代後半)が昨年から悪性腫瘍で入退院を繰り返しています。
おそらく復帰は望めない彼が、先日ニット帽をかぶって事務所にひょっこりやって来ました。厚着したセーターの上からもわかるほど薄くなってしまった肩やぶかぶかのズボンからその闘病生活のつらさが伝わってくるようでした。

雇用保険の手続きのために来たんだ、という彼でしたが、彼と同期のほかの先輩がおっしゃるには「いつどうなってもおかしくないから、歩けるうちに職場のみんなにあいさつにきたんだよ」。
これこそが、本当の終活というべきではないでしょうか。
エンディングノートも結構、お棺に入るのも結構。それでも、過激な終活はどうにも腑に落ちません。

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