慌ただしくない3月末
2014/3/31 元会社員 さん3月決算の会社に長く勤めていた。
営業部門でも管理部門でも3月末の忙しさは異常なほど。平凡な表現だが、目が回りそうであった。
電話を切ればすぐ鳴り、電話をしながら稟議を書いたり、くわえタバコでワープロを打ったり、別件を考えながらメモを書いて指示を出したり。
そうこうしているうちに3時が近くなり、それまでに終えておかねばならない送金手続きなどを駆け込みで手配し、やれやれと思っていたら期末挨拶とかで来客があったり。
わざわざ来てくださるのだが、忙しいから嬉しくもなんともない。でも、ニコニコしなくてはいけない。
気がついたら夕方6時になっており、ちょっと背伸びをしてコーヒーを飲んでから再び机に向かい、タバコを吸いながら仕事して気がついたら夜10時。
残業規制で追い出されるように会社を出て、妻も子供も既に寝ている家に戻り、風呂に入って食事して、零時過ぎにバタン。
ちょっと飲みに行ったら、終電で帰って寝るのは2時。翌朝は6時に起きて・・・。
自分だけではなく、たぶん皆がそうしていた。
嫌ではなかった。寧ろ、気分は高揚していた。
なぜ、あんなに忙しかったのだろう。システム化が進んだが、今はどうなんだろう。
リタイアした今は、家で慌ただしくない3月末を過ごしている。
誰にも指示されず、誰にも指示を出さず、食事して、新聞を読んで、適度に運動して、テレビを見て、居眠りしながら読書をして。
あのころ切望していた「ゆとりある日々」とやらが手に入った代わりに、忙しかったあの日々がだんだん遠のいて行く。
子供も結婚して、妻と二人。家は静かになった
これまでのことが、まるで夢のように感じられる。
歳をとるということは、こういう気分になることなのだろうか。
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