居眠り

2011/7/30  五月 さん

定年後の生活|居眠り春眠暁を覚えず。孟浩然の詩であるが、今は夏。春は遥か彼方へ。というのに、わたしは……。

この詩のようなら許せるが、わたしは、春夏秋冬眠い。朝といわず昼といわず、時間かまわず、新聞や本を三、四行読み出すと、もうだめ。気がつくと、テーブルに突っ伏して眠っている。
若者の眠いのはわかる。が、わたしの眠いのはいったい何? 頭の中で、ワーッと「老」という字がクローズアップする。

パールバックの『大地』に、大人(たいじん)(老人)が、土塀にもたれて、居眠りをしている場面があったような気がする。あれは、阿片を吸っていたのかもしれないが……いつもその場面が頭にちらつき「眠いのは老人の特権」などと、うそぶいてみるが、視点を変えれば、人生の終末が近づいた現象とも思われ、居眠りから覚めた時、夫を亡くし一人居の自分を持て余す。
「えぇままよ、眠ったまま覚めなきゃ、最高の幸せってもんよ」
「そうは、問屋がおろさねぇよ」
「仕方がねぇ、なるようになるさ、眠い時にゃ眠っちゃえ」
などと一人芝居めいたことを口走り、情けなさも吹き飛ばし、また新聞を手に取るが、また……。

今日は何の断りもなく、ドシャバシャーっと、雨が降り出した。今年の梅雨の異常さは、どうしたことか? 九州では大変な被害が出て、ニュースでその様子が、テレビ画面に映し出される。
わが家は、高台の平地で畑もあり、雨水も浸みこむので、浸水の心配はないが、市立体育館脇の道に下って上るトンネルがあった? うろ覚え、ボケたか――もし確かならあそこは水浸しになるだろうなぁなどと思いながら、庭石を叩く大粒の雨足を眺めていた。テレビをつけたら、案の定、東京・北区で浸水騒ぎ。水没した車の窓から、男性が助け出されるところが、映った。

地球を馬鹿にしたかのような、容赦ない降り方をする今年の梅雨。中国でも洪水の被害があり、テレビニュースで流れていた。
これは、人類が文化生活に酔いしれた「ツケ」かもしれない? などと、柄にもないことを考えさせられる。

カーテンを引かずにいた高窓に、わたしの居眠りをあざ笑っているかのように、ぼんやりした半月が上って来た。
しかし、月は黙って下界を見下ろしているばかり。月に笑われようと、眠りほうけるわたしを見て、文句を言う相手がいる訳でなし、眠い時は、眠ればいいさ。

おっと、待てよ。そうだった。
わたしの仕事は、いかに一日を楽しく生きるかを創造することだった。

よし明日から、眠りそうになったら、本を閉じ、ペンを持って、駄文でもひねり出すことにしよう。そしたら睡魔が退散するかもしれない。
「居眠りよ、さらばー」となったら拍手喝采。
そうは問屋がおろさないか……。

平成二十二年七月初旬記

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