故郷のお正月
2011/12/31 除夜の鐘 さん
私の育った北海道の田舎町では、大晦日から元旦、そしてお正月の三が日を過ぎても仕事始めの7日あたりまでは盛大な酒盛りが続くのです。元日を除いて、毎日ご近所の方や親戚が年始の挨拶にやってきます。みなさん家に来た段階で既に酔っ払っている状態で、子供の頃は嫌悪していましたが、お年玉が貰えるので少々の酒臭さには目を瞑り、とびきりの笑顔で酔っ払いのおじさん達を出迎えました。大晦日は特に思い入れのある日です。
私の母は保育士をしていたので、仕事で忙しいお宅のお子さんが毎年大勢来るのです。床屋さん、お寿司屋さん、お蕎麦屋さん、商店の方達の大晦日は一年で一番忙しい日で、夜遅くまでお店を開けている事が多く、母はそう云った家業を持つ家のお子さん達が淋しい思いをしなくて済むように、家の仕事が終わるまで預かっていたのです。
今、保育士がそんな事をしたら問題になってしまうのでしょうけど、昔は他所のお子さんを預かるのは普通の事でした。ご近所同士助け合って生きていた良き時代でしたね。大晦日は、母も御馳走作りに大忙しで、私と姉は預かっている小さなお子さん達の遊び相手をし、一緒にお風呂に入ったり、着替えを手伝ってあげたりと、保育士さん気分で大張りきりです。いつもより早い夕食が始まり御馳走を大勢で頂くのです。食事の前に、神棚と仏壇に手を合わせ、玄関にお酒とお塩を置くのも子供達全員でワイワイとやっていました。今思うと、他所の家の子が家の先祖の前で合掌していたと思うと笑えてきます。御馳走を囲み紅白歌合戦が中盤に差し掛かった頃に、次々とお子さん達の御両親が仕事を終えて迎えに来ます。
みんなが帰り少し寂しくなるのですが、そこからは家族だけで一年を振り返り一人ずつ順番に、すぐそこに来ている新しい年の抱負を話すのが決まりでした。それが終わるとお年玉を貰い終焉となるのですが、除夜の鐘が鳴り始めても興奮して眠れなかった事を覚えています。
私は結婚して関東に来ましたが、初めての年越しを迎える準備をするにあたり主人に言われて驚いた事がありました。大晦日には特に御馳走を用意する訳でもなく、ただ年越し蕎麦を頂くだけだと言うのです。姑も「そんな贅沢はしなくていい」と言うので非常に淋しい想いで年越しをした年の事を鮮明に覚えています。結婚したばかりだと言うのに、故郷に帰りたくなってしまう程寂しい思いをしました。おまけに新婚だというのに、主人は神輿担ぎで神輿の会の会長をしていたため、大晦日も元日も神社に行ってしまい、口うるさいおじいちゃんと二人きりなのです。
そんな姑も亡くなってしまい、主人も年を取り神輿の会長も代替わりしました。そんな事もあり、我が家の年越しとお正月も大きく様変わりして昔の賑やかさが戻ってきました。孫と、娘のママ友のお子さんを預かる事にもなりました。大晦日は、故郷の知人から蟹を送って貰い、食卓に御馳走を並べ、他所のお子さんも一緒に神棚と仏壇に掌を合わせ玄関にお酒と塩を置きます。私の喜びように主人は「今まですまなかったね」と声をかけてくれました。故郷のお正月は心から離れない大切なものですね。
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