時間を積み重ねて熟成されたシニア世代の魅力は奥深いものがありますが、景色も道具も同様です。背負った時間に思いを馳せるとき、ノスタルジックを味わえるのもシニアゆえの特権ではないでしょうか…。

郷愁に浸りながら、シニア版デートコースにどうだろう…というラフな感覚で、
ライター小柴が、鎌倉「極楽寺」を歩いてきました。

いざ、鎌倉から江ノ電へ。
江ノ電で走ると、長谷駅と極楽寺の間にある、極楽洞と呼ばれるレンガで造られたアーチ型のトンネルを通るのだが、ここでまず心揺らされる。
「文明開化の匂いがする」思わず呟きたくなるような景観。
極楽寺駅

極楽寺駅に到着すると、ここがまたレトロ。
タイムスリップしたかのような緑に囲まれた古風な佇まい。
鶯の声に出迎えられながら、駅員さんに話をきくと「明治に建てられてから全く変わっていません。ペンキの塗り替えぐらいですかね。100年以上このままです」
関東の駅百選に選出された、歴史を感じさせる風情の駅。

極楽寺

駅を出ると駅建物の後ろに極楽寺が見える。
極楽洞の上にかかる赤い橋（通称桜橋）をわたって極楽寺に向かう。
藁ぶきの山門が素朴で質素。
貧しい人々を救うことに一生を費やした忍性が開山した真言律宗の寺であると偲ばされる。

写真3

極楽寺山門の横にある古風な建物では、アロハシャツなどが売られていて、妙にマッチしている。（写真3）

写真4

桜橋を戻りアジサイ寺で有名な成就院へと向かう途中、これまたレトロな喫茶店兼アンティークショップが目に留まる。（写真4）
中に入ってみるとテーブルが3つくらいのお茶スペースと同じくらいのスペースでアンティーク小物が売られていた。

成就院

弘法大師ゆかりの成就院では、紫陽花を楽しむことはできなかったが、海を望む景色は堪能できた。
ここの山門近くまでかつては道があったのかと眺めると、改めて難攻不落の切り通しを偲ばれる。境内で売られているお守りは「身代わり守り」と呼ばれ、キャビンアテンダントなど、空を渡る人たちに人気があるそうだ。

不動明王

境内で参拝を済まし、順路案内に従って不動明王へ。パワースポットとして最近は特に人気らしく、不動明王の写真は待ち受け画面として売られているそう。何のパワースポットかははっきりしないが、「信じることがそのままパワーとなっているんじゃないでしょうか」との住職のお話。
「お参りした方がご利益はありますでしょう」（住職談）ごもっともとうなずくコト然り。

切り通し

海側に降り、鎌倉七切り通しのひとつ、極楽寺切り通しを眺める。
成就院山門までの勾配を思い浮かべ、新田義貞になってみる。
待ち構える幕府軍の弓部隊。稲村ケ崎の海方面に撤退した気持ちがわかる気がした。

星月の井

昼間でも星が見えたため名付けられたといわれる、鎌倉十井のひとつ「星月の井」。
この井戸に、僧行基が、虚空蔵菩薩をみて建てたといわれる虚空蔵堂が上にある。
「星月の井」を過ぎ、御霊神社へ。

力餅屋

御霊神社へと曲がる道角に「力餅屋」がある。
「建物は大正時代建て替えられていますが、権五郎餅は三百年以上同じ作り方で味を守っています」店員さんの話にそそられる。

「力餅屋」を曲がり、まっすぐ進むと江ノ電踏切が見える、これを渡ると鎌倉権五郎神社、俗に権五郎さんと呼ばれる御霊神社。
建物のつくりに感嘆しつつ、本堂をひとまわり。
御霊神社

踏切手前にあった民家らしき料理屋さんが気になり、のぞいてみた。
ミニ懐石料理だけのお店で予約して下さいとのこと。（写真11）

写真11
 
「ご飯は必ず炊き込みご飯です。甘味のデザートが付きます。ぜひ。」と案内され、ちょっと気になっただけに欲求不満を感じながらひとまず「極楽寺そぞろ歩き」終了。
語り合いながら歩くには、休憩スポットも多く、距離的にもシニア層にはちょうどいい、と感じた。

余談だが、極楽寺周辺、切り通し周辺には小さな階段で上がる坂道がいくつかあったが、登ってみるとたいてい民家に続くものだった。
なお、極楽寺駅を稲村ケ崎方向に進むと、観光スポットはなかったが、地元で人気あるパン屋さんやお肉屋さんがある。

ライター小柴直美

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