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お葬式の話(前編)

2012/1/23 

告別式

1.はじめに

人間の思いこみというのはある意味迷惑なものがあって、「結構なご年配ですから、お葬式のことについても詳しいでしょう」と聞かれることが時々あります。確かに私は見た目、年を取ってます、頭の薄さ具合も相当なものです。

でも、それイコール葬式について詳しいというわけではまったくありません。というか、葬式のマナーとか、進め方については何も知りません。うちの両親は90歳近くになってまだ健在ですし、田舎も遠く離れているので、親戚が亡くなってもなかなか葬式に行けない。

高齢化社会の恩恵というのか弊害というのか、葬儀に出席する経験が少なくなっているのが実情ではないでしょうか。私に限らず、そういう人は多いのじゃありませんか。中高年になっているから葬儀に詳しいのは当たり前というように見られる、でも実際にはよく知らない、そういう人のために葬儀について基本から調べてみたいと思います。常識と思っていたのが違ってた、なんてことがあるかも。

折からTBS系列で葬儀社を舞台にしたドラマ「最高の人生の終わり方」が始まりました。ドラマをより楽しむためにもこの企画、タイムリーではないでしょうか。

人が亡くなった場合、その関係者というと、
①遺族
②親戚など近親者
③知人
の3つになります。それぞれに分けて触れていきますが、まず最も多い機会があると思われるのが③の知人関係からいきましょうか。

知人が死亡したとの知らせを受けた場合、葬儀または告別式に出席しますが、その際の服装は、「正装」または「準喪服」が一般的です。男性の場合は黒のモーニング、またはブラックスーツですね。ダブル、シングル、三つ揃い、どれでも構いません。ワイシャツは白ですが、ネクタイは黒、ベルトも靴下も黒で統一します。ちなみにモーニングは正装ですが、夜は着用しないのが常識です。また、和服の場合は黒無地の羽二重の羽織袴。そして足袋は白または黒で、草履は黒い鼻緒のものにします。

女性の場合は、黒の無地のワンピース。ストッキングも靴も黒無地。バッグも黒がいいです。そして服もバッグも、光り物とか光る素材は避けましょう。もちろんアクセサリーはつけません。真珠か、光らない黒石なら可。和服の場合は黒無地の羽二重。夏は絽。帯も帯揚げも黒。帯留めにも光るものは使いません。また、中の長襦袢と足袋は白。草履は鼻緒が黒のものを使用します。また、準喪服として、紫、藤色、グレー、えび茶などの無地のものを着用してもかまいません。その際も、帯、バッグ、草履の鼻緒は黒で統一します。

ただ、通夜の場合はそこまで改まったものでなくてもいいとされます。男性の場合はダークスーツに黒ネクタイ、黒い靴。女性の場合も黒または紺系の落ち着いた色のワンピースやスーツ。バッグと靴は黒で。
いつ葬儀があるかわかりませんから、黒ネクタイや黒靴、黒いバッグなどはそろえておいた方がいいでしょう。

私の場合、人生で2度ブラックスーツを作りました。一つは20代半ば。その頃葬式が相次いだもので、黒のフォーマルスーツをあつらえたのですが、実はその直後からぶくぶく太りはじめ、40代にはまったく着られなくなってしまいました。そこで47の時に新しく作ったのですが、また、その直後に病気してげっそりやせてしまい、今ではベルト2つ分くらいのすかすか体型になってしまいました。いま着れば、スーツだけがひとりで歩いているように見えるでしょう。今度葬式があったらどうしよう、とびくびくもので過ごしているのです。

   

2.通夜への出席

お通夜
死亡の通知を受け取ったら、それは通夜または告別式へ出席してほしい、という遺族の思いがあるわけで、ここは万難を排してでも出席しましょう。ただ、時間の都合もあるでしょうから、「通夜」または「告別式」のどちらかに出席すればいいと思います。基本的には故人との関係の深さによりますが、関係の深い人は通夜に出てくれと遺族から請われます。どちらにも出席できない場合は少なくとも葬儀場向けに弔電を打ちましょう。この場合、自宅向けはあまりおすすめできません。

通夜の会場についたら、受付をすませます。「香典」を渡し、「芳名帳」に住所と名前を記入します。「御霊前」と書かれた香典袋を用意し、その表に自分の名前を書いておきます、その自分の名前を相手側に向けて差し出すのがマナーです。
また、名刺を渡す場合には同じように相手に自分の名前を向けるようにして出しますが、下の一角を少し折って渡します。
ただ、香典を焼香の時に祭壇の前に出す場合もあります。その時は、自分の名前を手前に向けて出します。

香典の中には現金を入れ、自分の名前、住所といくら入れたかの金額も記入しておきます。市販の香典袋には書くところがあります。あとで遺族が礼状や香典返しを送る時に住所氏名が必要になるからです。また、金額は決まっていませんが、一般的には5000円~1万円というところでしょうか。

また、通夜にも告別式にも出席できない場合は、後日、香典を現金書留で送っても構いません。その場合は不祝儀袋に入れて、一筆沿えて、それが香典であることがわかるようにしておきます。

席次については、祭壇の向かって右側が故人に近い順。つまり祭壇右横すぐが喪主で、その隣が遺族、関係の近しい順から後方に親族が座っていきます。同じように、祭壇の左側は前方から世話役、友人知人、会社関係というように座ります。席に名前が書いているわけではありませんから、だいたいそういう配置だと認識していればわかります。一般の弔問客だと先着順とかでいいようです。

式が始まってお坊さんの読経が始まったら順次、焼香ということになります。まず喪主が焼香し、続いて遺族、親族というように関係の深い人から焼香していきます。

その作法については次の手順の通りに行います。
①順番が回ってきたら、次の人へ会釈して列に並ぶ。この場合、列を途切れさせないことが大事です。
②遺族に一礼してから祭壇の前に立つ。
③遺影を見つめてから合掌する。
④抹香(粉になったお香)を少しツマンで、目の高さに捧げて、香炉に入れる。
⑤再び遺影に合掌。
⑥そのまま1、2歩下がる
⑦遺族に黙礼し、元の席に戻る
 
抹香ではなく、線香の場合もあります、その時もだいたい同じような手順で焼香します。一礼して、線香に火をつけ、火のついた線香は手で払って火を消し、香炉に立てます。そして一歩下がって合掌し、下がります。
この作法は別に覚えなくても大丈夫です。重要なことは、

前の人の真似をする

ので間違いないのですから。神妙な顔をして前の人のやることを見ていましょう。
多くの場合、僧侶が読経を終了してから、短い説法をします。貫禄ある僧侶がやればいいのですが、いかにも仏教大学出たてという若い僧侶がやった葬式に出たことがあります。いや、なかなか。

(参考)通夜の手順
(1)遺族、親族など一同着席
(2)僧侶の入場
(3)通夜の開始
(4)読経
(5)喪主、遺族、親族の焼香
(6)会葬者の焼香
(7)読経終了
(8)僧侶退席 
(9)喪主の挨拶
(10)通夜終了

通夜の場合は、式が終わってから通夜ぶるまいというのをします。出席した人に別室で軽い食事とお酒をふるまうものです。この場合、会葬者は焼香が終わったら、案内があれば別室に移動してもかまいません。多くはお寿司とお酒、ビールなどがふるまわれ(本来は精進料理なのですが、あまりうるさくはありません)、そこで故人の思い出などを語るのですが、長居は無用です。ここで酔っぱらうなどはもっと無用です。1~2時間いてすっと引き揚げるのがマナーです。最近はそうでもないですが、遺族は一晩中起きているのですから、負担をかけないようにしましょう。
 
 

3.告別式

お葬式 
さて、前回までは一般の弔問客のマナーについて触れましたが、今回はそれよりもう少し近い関係の方について。いわゆる親戚などの親類縁者の葬儀での対応について述べていきたいと思います。

後述しますが葬儀について、またはその前後についていろいろな煩雑な手続きや打ち合わせが必要です。それはお金の話であったり、生々しかったりするため、悲しみに暮れる遺族にはつらい作業になります。そこで親族や非常に親しい人が世話役として、そうした葬式に関わる手続きをまとめ上げることが必要になります。昔はどこの町内にもそういう世話好きな長老とかがいたのですが、今ではそうした関係も薄れ、ほとんどの場合は葬儀社が代行するようになっています。というより、葬儀社の敷いたベルトの上を儀式として乗せられていると言った方がいいかもしれません。

葬儀のプロに任せた方が間違いはない

ということです。プロが何から何までやってくれるので、遺族はさまざまな細かいことに気を配らなくていいようになっています。
そこまで近くはないけれどもお手伝いするくらいは関係が深いという人もいます。葬儀にはいろいろと人手がいるものです。
たとえば、葬儀の受付係、会計係、会場の案内係、接待係、進行係などが必要となります。頼めば葬儀社が丸ごと代行してくれますが、やはり遺族側から人を出さねばならないこともあります。会計係などは香典のお金を扱うものだし、受付は親戚知人、会社関係など重要な人たちが来るため、それにそつなく対応しなければならないことも多く、同じように通夜ぶるまいなどの接待役などはやはり身内でやるのがいいようです。

よく聞かれる香典泥棒などは、こうした葬儀に集まる人たちが親戚といえども顔を知らないところから集まった香典を持ち逃げされるのがパターンですから、少しでも親戚の顔を知っている身内の方が間違いはありません。
そういう手伝いの人も、葬儀、告別式では一般の会葬者と同様に、最後になるでしょうが焼香します。その手順やマナーは一般の会葬者と変わりません。

最近では葬儀と告別式を一緒にやることも多くなっていますが、告別式に特徴的なのは、式の中で「受戒」と「引導」を行うことです。受戒というのは戒名をいただくことで、引導というのは故人をあの世に導くことです。
また、弔電を紹介、披露したり、弔問客代表に弔辞を述べてもらったりするのも告別式で行います。ある程度対外的な別れの場という特性を持つのが告別式といえます。

(参考)一般的な告別式の流れ
(1)遺族、親族、会葬者などが着席
(2)僧侶入場
(3)読経開始
(4)受戒、引導
(5)弔辞奉読
(6)弔電紹介
(7)遺族焼香
(8)会葬者焼香
(9)読経終了
(10)僧侶退席
(11)告別式終了

告別式が終わったら、出棺です。
出棺は基本的に親族が行いますが、一般の知人や友人でも希望すれば立ち会うことができます。
まず、棺を祭壇から下ろし、遺体の顔が北を向くようにして下に置いて、故人の顔が見えるように棺のふたを開きます。これが「お別れの儀」です。そして立ち会う人は故人の遺体の周りに花を飾ります。一人一本ずつ故人の周りに敷き詰めます。このときに故人の好きだったものとか、記念のものとかも一緒に入れることができます。愛用のたばこだとか、好きだった趣味のものとか、何でもいいのですが、最終的には故人と一緒に火葬するため、燃えないもの、爆発する可能性のあるものなどは避けましょう。

これが故人との最後の分かれになるわけで、終わると「釘打ちの儀」が行われます。棺のふたを閉じて、あらかじめ半分ほど打ち込まれた釘を、石で打ち込んで閉じるのです。喪主や遺族、親族、友人などの関係の深い順に石で2回ずつくらい軽く打ち込みます。あくまで儀式ですので、これも形式です。釘打ちの儀をやらない宗派もあります。

これが終わると棺を持ち上げて故人の足の方から霊柩車まで運びます。親戚の男性が5~6人で運ぶわけですが、希望すれば知人、友人でも構いません。
このときに故人が生前使用していた茶碗を割るという儀式がありますが、宗派によってやらないところもありますので、事前に確認しておきましょう。
 
 

4.遺族として

葬儀
葬儀というのは何か。亡くなったものを残されたものがきちんと見送ってやる儀式であります。「俺が死んだら骨は海に投げてくれ」とか「葬儀は身内だけでやってくれ」とか、生前に意思表示していたら、それが故人の望んだこととして、望みを叶える形でやってあげるのが残されたものの務めなのでしょう。また、時々新聞をにぎわすのですが、亡くなった肉親を自宅に放置して何ヶ月も暮らしていたとかいう事件があります。ミイラ化していたとか、白骨化するまで一緒に暮らしていたという、そういう人は逮捕されて大犯罪者扱いされるのですが、それも一つの供養の形なのではないか、と、残されたものの離れがたい思いがうかがえ、なんとも痛ましく感じられます。

残されたものがきちんと送ってあげるために、様々な手続きが必要です。それは昔から連綿と続いてきた慣習であり、また法的手続きであるものです。本人がやるもの、代行してもらうものなどを含めて、順に追ってみていきましょう。

①死に水を取る。医師が臨終を告げた直後に、割り箸か筆の先に脱脂綿を結びつけたものに水を含ませ、故人の唇に当てるもの。配偶者から近親者と血のつながりの濃い順にやっていきます。
②葬儀社へ依頼する。専門家に任せるというのは正しい判断といえます。
③湯灌と死に化粧をする。死者の体を清める作法ですが、このあたりは映画「おくりびと」のように、専門家が行います。
④遺体の引き取り。病院で亡くなった遺体は霊安室に収められ、葬儀場へ運ばれますが、自宅で葬儀あるいは通夜をする場合には運搬してもらうこともできいます。
⑤病院での手続き。担当医師や看護師、同質の患者さんなどに挨拶をします。病院の支払いもこの時に行うのがいいでしょう。また、遺体の引き取り時に医師から死亡診断書を出してもらいます。これは後に役所に提出したり、保険金の手続きをする時などに必要なので、コピーを取っておくことが大事です。

⑥死亡届を役所に出す。同時に火葬許可証をもらいます。
⑦僧侶の手配をする。自分の菩提寺がわかっていれば、そのお寺の僧侶に依頼するのですが、わからなければ葬儀社に手配してもらうことになります。
⑧葬儀場へ遺体を搬送する。
ちなみに献体を希望していた故人もいます。その場合は葬儀、告別式は普通に執り行いますが、その後、火葬場に直行するのではなく、大学病院などに送られ、先方で解剖などを行ってから火葬して、遺骨が遺族の元に戻されるという手順になります。
⑨葬儀の打ち合わせ。遺族が集まって、喪主を決め、故人の遺志を確認し葬儀の段取りを決め、葬式の予算や規模、場所、日時を決め、誰に連絡するかを打ち合わせします。
⑩戒名をつける。僧侶と打ち合わせして可及的速やかに戒名をつけてもらいます(宗派によって法名とか法号とかいいます)。位牌に書かねばならないので、遅くとも通夜の前にはつけておかねばなりません。

⑪会葬礼状、返礼品の準備。会葬者に後日出すお礼状や香典返しの品を選びます。葬儀の場で渡すこともありますので、その場合、葬儀社に手配してもらえば簡便です。
⑫通夜
⑬告別式
⑭喪主の挨拶。本来は通夜の終了時、通夜ぶるまいの終了時、告別式の終了時と3回しなければなりませんが、簡略化して告別式の終了時にのみ行うことが多くなっているようです。喪主はあらかじめ挨拶文を考えておきます。暗記しなくても原稿を読み上げても大丈夫です。内容的には会葬に対するお礼、故人の生前に対する感謝、故人の思い出、遺族への今後の厚誼を賜る、といったものを簡潔に挨拶します。

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