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世相を斬る!(32)電気料金値上げ構造にメスを

2012/5/25  臥龍 さん

オピニオン|世相を斬る
東京電力が7月から家庭用電気料金の大幅な値上げ方針を打ち出していることに対して、さまざまな議論がなされています。
今回の値上げは、原子力発電所の運転停止に伴い、火力発電所の稼働率が上昇し、天然ガス、石炭などの燃料費負担が増大したことが理由とされています。
これに対して、「東電社員の給与や役員報酬が高すぎる。人件費コストを圧縮すべきだ」「家庭用電力を自由化し、競争を促進すべきだ」等々。いずれももっともなご意見と思われます。

これまで燃料費の高騰を理由に、電力会社による電気料金の値上げは何度も繰り返されてきました。
そのつど、料金を査定する立場の経済産業省は、値上げ幅を圧縮するなど、場当たり的な対応、ないしは国民の批判をかわすための姑息な査定に終始してきました。
今回の電力料金値上げに対しても、従来のような査定が行われるなら、電力料金値上げ構造にまったくメスを入れず、今後も値上げが繰り返されるでしょう。

電力料金値上げの根底には、高度経済成長時代に、電力会社と通産省(現在の経済産業省)がエネルギー供給を優先するために作り上げた「総括原価方式」という構造が組み込まれています。
この方式は、燃料費のほか、人件費や設備投資費用など、すべての費用を総括原価とし、それに一定割合の利益を上乗せした形で電気料金を査定する方式です。

つまり、この方式では、人件費や設備投資費用が増大すれば、その分だけ電気料金を値上げできることになるのです。
しかも、電力会社には確実に一定の利益が保証される形になります。電力会社にはきわめて“おいしい”総括原価方式は、電力・エネルギーの安定供給という大義名分のもとに作られた電気料金構造なのです。

電力会社は地域独占企業といわれ、長年、国内10電力会社体制が続いてきました。
しかも、電力会社の経営安定化のために、こうした総括原価方式が料金査定に組み込まれ、人件費や設備が増えれば増えるほど、料金値上げが容易に出来る形が続いてきたのです。

民主党政権は、エネルギー政策の抜本的見直しの中で、こうした電力会社の地域独占にもメスを入れる方針を明らかにしています。
しかし、今日に至るまで、その姿勢は見えてきません。
今回の料金値上げについても、政府としての明確な方針は示されていません。
電力会社の地域独占を見直し、電力料金の完全自由化によって、新規参入企業を増やせば、料金値上げが繰り返されることはないでしょう。
総括原価方式を抜本的に見直すべき時期にきています。

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