シニアの声(29)「解雇の金銭解決」は是か非か
2013/4/30 かざぐるま さん
雇用の流動化を進めるために打ち出された「解雇の金銭解決」をめぐって、さまざまな議論がなされています。
一部のマスコミには「クビ切りの自由化」「不当解雇をカネで解決」といった形で、センセーショナルに報道する新聞、雑誌も見られますが、いさかか見当違いといわざるを得ません。「解雇の金銭解決」という問題は、何も今に始まった議論ではなく、2003年の労働基準法の改正や2007年の労働契約法制定の際にも、幅広い議論がなされました。
現在の議論は、政府の産業競争力会議と規制改革会議における、いわゆるアベノミックスによる成長戦略の一環として登場している課題です。
「雇用の金銭解決」は、正確に言えば、会社側に解雇された社員が、裁判で「解雇の無効(不当解雇)」を勝ち取った場合、会社が補償金を支払って、雇用契約を終了できる、という方法です。
従来は、「解雇の無効」が認められた場合、会社は雇用契約を継続し、社員は現職に復帰する方法しか道がありませんでした。
しかし、現実問題として、いったん裁判を起こした社員が、現職に復帰できたとしても、就業を続けることは難しいのが実情であり、会社側としても、その社員の扱いにはかなり神経を使わざるを得ないという問題があります。「解雇の金銭解決」は、そうした会社側、社員の双方にとっての雇用契約終了法の選択肢の一つといえます。
そして、より見逃せない点は、終身雇用社員あるいは正規社員の流動化を促進できるという点です。
「金銭解決」は、従来のような、ごく少額の「和解金」などではなく、勤続年数に応じたそれ相当の「金額」の基準が定められることになっています。
現に、中小企業経営者は、「解雇の金銭解決」は負担が大きすぎるとして、反発しているところも多いようです。大企業の場合、正規社員と非正規社員との給料格差は広がる一方です。
その是正や、社員間の流動化が、緊急の課題となっています。
「解雇の金銭解決」は、そのネーミングからは誤解を招いていますが、目的とするところは、雇用の流動化であり、日本型終身雇用制度の改革にあるといえます。
裁判の場合だけでなく、将来的には、企業の雇用のあり方に影響を及ぼすことも考えられます。
終身雇用が困難になり、社員間格差が拡大している現在、定年を控えたシニアとしても、その是非論、損得を考えるのも無駄ではないようです。シニアの声
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