世相を斬る!(50)<最終回>ワーキングプアの生活保護受給見直しを
2012/9/28 臥龍 さん
厚生労働省がこのほど発表した今年6月時点の生活保護受給者は、211万5000人と、過去最多を更新したと報じられています。
受給世帯数も154万2000世帯と、こちらも過去最多となっています。
増え続ける生活保護費の増大に対して、政府は、来年度予算で、生活保護費の削減方針を打ち出しています。しかし、ちょっと待ってほしい。
保護制度の見直しはいいとして、受給者の中には保護費が、まさに命綱になっている人たちがいます。
半面、保護費が遊興費に消えたり、不正受給をしている人も指摘されています。
保護費の削減は一律ではなく、厳しい選別が必要と思われます。生活保護世帯は、類型別に「高齢者世帯」「母子世帯」「障害者世帯」「傷病者世帯」「その他世帯」に分類されています。
これらの世帯のうち、最近増えているのは「高齢者」と「その他世帯」といわれます。
「その他世帯」の中には、「働けるのに仕事がない」いわゆるワーキングプアと呼ばれる若者が多くなっています。
ワーキングプアは、リーマンショック(2008年9月)以降の不況によって、若者の雇用が急速に悪化したことに対応、政府が、保護費の受給対象にしたことによるものです。確かに、企業の業績悪化により、一時帰休やリストラによって、多くの若者が失業を余儀なくされたことは事実です。
しかし、若い人の場合、いつまでも生活保護に頼るべきではありません。
早く新しい職をみつけて、ワーキングプアから脱しなければなりません。それに対して、高齢者の場合、年齢的に言って、新しい仕事を見つけることは容易ではありません。
体力的にはもちろん、中には、病気がちの人も多いでしょう。
そして何より、生活の支えとなる年金は、年々目減りし、人によっては、年金だけでは暮らしが成り立たない人も増えています。
そうした高齢者への生活保護費の削減は、生活を否定することになりかねません。生活保護制度の見直しは、働ける若い人たちの自立を促す一方、不正受給の根絶など、受給対象を厳しく選別することから始めてもらいたいものです。
※「世相を斬る!」は今回が最終回になります。
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次回からは「シニアの声」を連載いたします。お楽しみに!世相を斬る!
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