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クスリの話(4)・・・認知症の治療薬

2012/5/30 

クスリ

認知症について

高齢の人にとって最も怖い病気とはなんでしょうか。
がんなんかも怖いのですが、それよりもおそろしいのは認知症ではないでしょうか。
年を取ってくると細胞の機能が衰え、いろんなところに障害が出てくる、いわば「がたがくる」状態になるのはある程度仕方ありませんが、これが認知症という形で出てくると、自分だけでなく、周りの人に迷惑をかける。しかもその事実を本人だけがわからない、これがまたなんとも痛ましいので、認知症の恐怖は発症する前の高齢者にとって共通する恐怖といえます。

この4月に世界保健機関(WHO)が認知症に関する初の報告書を出しました。それによると、地球全体の高齢化に伴い、世界の患者数が20年後に今の2倍、40年後には3倍に増えるそうです。
国連の人口推計に当てはめると、2050年の人類は100人に1人以上が認知症患者になってしまいます。現在の世界の認知症患者は3560万人ですから、これが20年後に7000万人になる。50年後には1億人を超えるというのですから、日本の全人口が認知症、という時代になります。
シニアと認知症イメージ画像です

認知症の2~10%は60歳未満で発症し、65歳以上では5年ごとに倍々で増加するというデータもあります。
認知症は、「慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など高次大脳機能の障害からなる症候群」と定義され、アルツハイマー型、脳血管型などに分類されますが、日本では現在、認知症の約6割がアルツハイマー型認知症とされています。

アルツハイマー型認知症は、大脳皮質を中心とした脳の広範な領域で神経細胞が失われ、多数の老人斑と神経原線維変化が出現することで、記銘力障害から見当識障害、精神障害などが認められる進行性すが、その発症機序は、完全には解明されていません。

認知症の治療薬

定年後の生活|クスリ

怖ろしい時代を迎えつつありますが、それと同時に治療薬も開発されてきています。
アルツハイマー型認知症の治療薬は、長く1品目しかありませんでした。「ドネペジル塩酸塩」という成分で、日本のエーザイが開発した「アリセプト」だけでした。

これに対し、世界では複数の治療薬が発売され、日本でも2011年に新たに3つのアルツハイマー型認知症の治療薬が認可されました。
1.メマンチン塩酸塩(商品名メマリー)
2.ガランタミン臭化水素酸塩(商品名レミニール)
3.リバスチグミン(商品名イクセロンまたはリバスタッチパッチ)
の3品目です。

1.のメマリーはすでに世界70ヵ国で承認されていて、アリセプトとは違う作用メカニズムを持ち、海外ではアリセプトとの併用で優れた効果を出しているそうです。
2.のレミニールは軽~中等度の適応でアリセプトと同じメカニズムでアルツハイマーの症状を改善するもので、こちらも世界73ヵ国で実績があります。
3.のイクセロン/リバスタッチパッチは、アリセプトとほぼ同じメカニズムですが、最大の特徴は「貼り薬」というかたちにあります。認知症の患者は薬をきちんと飲んだのか記憶できないことも多いので、貼り薬なら周囲が薬の使用がひと目でわかるというメリットは非常に大きいのです。
定年|認知症イメージ画像です

認知症の原因は脳内のアセチルコリンエステラーゼという情報伝達物質が減少することで起こるとされていますが、アリセプトも、2のレミニールもイクセロンもアセチルコリンの減少を抑える作用を持ちます。
また、メマリーは別の情報伝達を阻害する物質を抑えるもので、だから、良剤を併用すると効果があるというのです。

ただ、いずれも治療によって「完治」するものではなく、「進行を抑える」効果でしかありません。
現在の技術の限界ともいえるのですが、進行を抑えるということは、症状が軽い時ほど、効果が高いということです。

早めに服用を開始すれば、深刻な状態にならずに済む可能性が高いということで、なんか危ないなと思ったら、早め早めに認知症専門外来を受診してみてください。
そうしているうちに、将来は「根治」も可能な新薬が出る可能性もあります。
製薬メーカーは認知症薬を巨大市場と見ていますから、今後新しい治療薬が出てくるまで、進行を抑え続けるという意識が大事なのです。

<特集 クスリの話>

(1)・・・医療用医薬品と大衆薬との違い / (2)・・・スイッチOTCについて

(3)・・・大衆薬の販売資格とネット販売 / (4)・・・認知症の治療薬

(5)・・・ジェネリック医薬品 / (6)・・・脳梗塞の特効薬tPA

(7)・・・ジェネリック医薬品(Ⅱ) / (8)・・・バファリン飲んだら、ふわふわ

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